連合ニュース 2023年

 
2023年04月28日
公正取引委員会に対し、「取引の適正化」実現に向けた要請を実施
サプライチェーン全体の維持・確保に向けた事業者への支援拡充や取り組み強化など
要請書手交の様子
 連合は2023年4月27日、公正取引委員会に対し、2023年度連合の重点政策とあわせて、価格交渉促進月間(2023年3月)の効果検証と労務費の価格転嫁のルールづくり、および中小事業者等取引公正化推進アクションプランの着実な実践について要請を実施しました。
 
 冒頭、清水事務局長から古谷公正取引委員会委員長に「取引の適正化」実現に向けた要請書を手渡した後、「連合の取り組みに日頃よりご理解をいただき、感謝申し上げる。現在連合では2023春季生活闘争の最中であり、4月13日(木)に公表した第4回回答集計結果においては、新たに回答を引き出した組合の8割近くを中小組合が占めつつも、依然『賃上げの流れ』はしっかりと引き継がれている。『人への投資』と月例賃金にこだわった、粘り強い交渉の成果として受け止めている。しかし多くの中小企業においては、原材料、資源、エネルギー価格の急騰によるコスト増加を十分に価格転嫁できていない状況にある。とりわけ、深刻な人手不足の状況や、人材確保・定着に課題を抱える中、労務費の価格転嫁と月例賃金の改善は引き続き必要である。中小企業の経営基盤の安定をめざすうえでも、価格転嫁や取引の適正化促進に取り組まなければならない。フリーランスも含めたすべての働く者・生活者の雇用とくらしを守るためにも、サプライチェーン全体の維持・確保に向けた事業者への支援の拡充など、公正取引委員会のより一層の取り組みをお願いする」と挨拶しました。
 
 具体的な要請内容については仁平総合政策推進局長より、以下の2点を説明しました。
・価格交渉促進月間(2023年3月)の効果検証とフォローアップの強化、自主行動計画や業種ガイドラインの改訂・適切な対応の徹底に対する指導・監督、および「労務費の価格転嫁の在り方についての指針」づくりについて
・広範囲にわたる違反事案の情報収集と報告書の取りまとめ、独占禁止法や下請法の違反行為に対する厳正な対処など、中小事業者等取引公正化推進アクションプランの着実な実践について
 
 要請を受けて、公正取引委員会・古谷委員長からは、「連合の皆さまには日頃より当委員会の取り組みにご理解を頂き、感謝申し上げる。今年の2月21日(火)に芳野会長と意見交換させていただいたのち、3月の価格交渉促進月間開始とあわせて2023年の中小事業者等取引公正化推進アクションプランを策定し、円滑な価格転嫁の実施に向けて約1600の事業者団体へ要請文書を送付した。2022年末に、多数の取引先に対して協議を経ない取引価格の据置き等が認められた企業名を公表するなどしたことによる反響を踏まえ、改めて法律上問題となり得る取引価格の据置きに関する考え方の周知に徹してまいりたい。また、独占禁止法の執行強化に関しては、昨年の緊急調査を上回る規模での調査を計画しており、とりわけ労務費の価格転嫁に焦点を当てていく。今春闘における賃上げの流れを一過性のものとせず、持続的な賃上げを行うためには、労務費の価格転嫁が重要になってくると認識している。政府として、『労務費の価格転嫁の在り方についての指針』を策定するに当たっては、当委員会の協力を得て取り組むとしていることも念頭に、調査を進めてまいりたい。連合の皆さまには引き続き連携をお願いする」と発言がありました。
 
 最後に清水事務局長は、「フリーランスの方々も働いて賃金を得ている『労働者』であり、連合の労働相談にも多くの相談が寄せられる。そのような現場からの声も共有したうえで、公正取引委員会の皆さまとは、引き続き連携してまいりたい」と述べました。
 古谷委員長からは、「フリーランス新法は無事に成立すると見込まれている。施行の段階で、多くの相談や苦情を受け入れる体制が必要になる。連合においてもフリーランスの方々の声を集約していただき、当委員会の取り組みにお力添えいただきたい」と発言がありました。
 
以 上