連合ニュース 2023年

 
2023年04月28日
こども未来戦略会議(第2回)に芳野会長が出席
政府試案の「基本理念」を議論
 政府は4月27日、「こども未来戦略会議」(議長・岸田首相)の2回目の会合を首相官邸で開き、3月末に公表した「こども・子育て政策の強化について(試案)」の基本理念に掲げた▽若い世代の所得を増やす▽社会全体の構造・意識を変える▽全ての子育て世帯を切れ目なく支援する──の3つについて議論しました。構成員からは、構造的な賃上げや雇用形態間の格差是正などを求める意見が相次ぎました。
 
 この日の会合で、連合の芳野会長は意見書を提出するとともに、以下のとおり発言しました。
<芳野会長の発言要旨>
  • 基本理念「1.若い世代の所得を増やす」について、所得向上に向けた労働者の能力開発は、若い世代に限定するのではなく、年齢や雇用形態等にかかわりなく、当事者の希望に沿った適切な訓練・研修や支援を受けられるよう強化するとともに、能力開発を実施する企業への支援も拡充することが重要だ。また、「収入の壁」の問題が取り上げられているが、重要なことは、すべての労働者に社会保険を適用拡大することだ。
    基本理念「2.社会全体の構造・意識を変える」について、L字カーブの背景には、女性が家事・育児の中心的役割を担わざるを得ない実態、長時間労働の職場では育児やキャリアとの両立が困難な実態がある。社会の根底にある男女の性別役割分担意識の払拭に、同時並行で取り組むことが急務であり、長時間労働を前提とした「男性中心型労働慣行」を是正し、育児とキャリアが両立できる社会を構築すべき。
    基本理念「3.全ての子育て世帯を切れ目なく支援する」については、書かれている支援の充実はどれも必要なことと思うが、その担い手の確保が欠かせない。処遇改善と職員配置基準を含む労働環境の改善をはかり、人材を確保していくことが重要だ。これらを通じて、子どもの最善の利益につながる支援にしていかなければならない。
    子ども・子育てを社会全体で支えていくためには、その費用を国民が広く負担し合っていくとの考え方に立ち、徴収しやすいところから徴収するのではなく、税や財政の見直しなど、幅広い財源確保策を検討すべき。
 
 また、岸田首相は会議の締めくくりで、以下のとおり述べました。
  • 若者・子育て世代の所得を増やすための一丁目一番地は、構造的な賃上げの実現だ。男女ともに働きやすい環境の整備、希望する非正規雇用の方の正規化、女性の就労の壁となっている制度の見直し、同一労働同一賃金の徹底などに加え、リスキリングによる能力向上の支援、個々の企業の実態に応じた職務給の導入、成長分野への労働移動の円滑化という三位一体の労働市場改革を加速する必要がある。
    企業の文化、雰囲気を抜本的に変え、男女ともに気兼ねなく育休を取得できるよう、働き方改革の推進とそれを支える育児休業制度等の強化などをはかっていく必要がある。
    社会全体の構造や意識を変え、「こどもまんなか社会」を実現するため、政府一丸となって「こどもファスト・トラック」等の施策を多面的かつ積極的に展開するとともに、全国の幅広い関係者の協力を得つつ、社会全体の運動につなげていく。
    全ての子ども・子育て世帯について、切れ目なく必要な支援が包括的に提供できるよう支援制度全体を見直していくことも重要だ。
    3つの基本理念の下で、政府として取り組むべき課題は多岐にわたり、関係の会議において議論を深めていくべきものもあるが、この会議において、加速化プランに沿って検討すべき項目について、具体的な制度設計や、課題の整理について、さらに検討を深めてもらいたい。