連合ニュース 2023年

 
2023年04月26日
芳野会長が「第17回新しい資本主義実現会議」で意見表明
 4月25日、「第17回新しい資本主義実現会議」が首相官邸で開催されました。今回は「科学技術・イノベーションの追加検討事項」および「GX・DXなどを進めるための企業参入・退出の円滑化」の議題について意見交換が行われました。
 連合からは芳野会長が出席し、意見書(添付)を提出した上で、以下の内容を発言しました。
 
<芳野会長の発言要旨>
■AI使用のあり方について
 AIはそのアルゴリズムや学習プロセスによっては、偏った判断基準が形成され、誤った判断が行われる可能性があることや、機密情報や個人情報が外部に漏れる恐れがあることから、安全性を第一に据え、プライバシー保護や人権の尊重など倫理的課題の取り扱いについて、あらかじめルールを定めることが重要と考える。
 
■産業構造転換への対応について
 まず、基本的な考え方として、産業構造の転換は、少なからず雇用や地域経済に影響を与えるため、分野横断的な課題の深掘りが必要である。国・地域・産業の各レベルで、政労使や関係当事者が加わる「社会対話」を行うとともに、政府には省庁横断的な体制構築を求めたい。また、「失業なき労働移動」の円滑な実現には、重層的なセーフティネットの構築や、中小・零細事業者への雇用の影響を適正に評価し、サプライチェーンだけでなく、国・地域レベルでの目配せと強力な支援が必要。これらを踏まえると、事業不振に陥った際に経営者が早期に相談できる体制の整備は、雇用維持をはかる観点で重要である。しかし、倒産や事業再編等が労働者に与える影響は甚大であり、体制整備をはかる際は、事業からの安易な退出を前提とすべきではない。また、スタートアップ育成5か年計画では、個人保証を不要とする制度を創設するとされているが、個人保証には「安易な倒産」を防ぎ、経営への規律を高めるというモラルハザード防止の観点も含まれることを踏まえ、慎重な検討が必要。現状では、倒産や事業再編時における労働者保護に関する法整備が不十分であることが重大な問題。再構築後の円滑な事業運営の支援とあわせ、労働者の生活や雇用の安定をはかる労働者保護ルールの確立について、早急に検討することが必要である。
以 上