3月29日、「第15回新しい資本主義実現会議」が首相官邸で開催されました。今回は6月に改定される「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の方向性や重点的に取り組むテーマについて意見交換が行われました。
連合からは芳野会長が出席し、意見書(添付)を提出した上で、2023春季生活闘争の取り組みにも触れながら、以下の内容を発言しました。
<芳野会長の発言要旨>
■構造的な賃上げについて
連合の最新の回答集計結果では、中堅・中小組合の先頭グループが大手の「賃上げの流れ」をしっかりと引き継ぎ、昨年回答を1.4%上回る3.4%の賃上げ回答を引き出している。構造的な賃上げ実現には、この流れをすべての中小組合や非正規雇用で働く人に波及させていく必要があることを、この場で改めて強調しておきたい。そのうえで、今後も労働生産性の上昇に見合った形で賃金を継続的に伸ばしていくには、物価のみならずマクロの生産性の伸びを一つのメルクマールとしていく必要がある。また、適正取引の実現にむけた労務費の価格転嫁状況の実態調査と、それを踏まえた指針づくりは、是非進めていただきたい。
■ジョブ型の人事・処遇制度について
こうした制度は、企業規模や業種によってなじまない場合があることや、雇用区分の複雑化・多様化の懸念があることを踏まえれば、個別労使が職場実態を踏まえ検討すべき。指針のとりまとめに向けてはこうした基本認識のもと労使の意見を聞きながら検討を進めるべき。
■人材育成について
人材育成は企業の責任で実施すべきであり、リスキリングだけではなく、従来の能力開発やリカレント教育を総合的に推進していく必要がある。労働者個人への直接支援の拡充とともに、企業を通じた支援の維持・拡充が重要なことを再度述べておく。なお、リスキリングは、労働移動の手段のみを目的に実施すべきでないことも強調しておきたい。
■看護・介護・障害福祉職員、保育士等の賃金について
賃金を3%程度引き上げる措置がとられたが、全産業平均に達するまで、さらなる処遇改善策を継続的に行うべき。
■GXの推進について
「公正な移行」の実現にむけて、政労使の社会対話の設置、省庁横断的推進体制の確立、重層的セーフティネットの構築を求める。
■混合介護について
利益の大きいサービスが優先され、介護サービスを必要とする人へのサービス提供が阻害される懸念があり、この点についてはきわめて慎重に検討すべき。
以 上