連合ニュース 2023年

 
2023年03月17日
全国中小企業団体中央会と連合との懇談会を開催
~共同談話をもとに、両組織が連携し、力を合わせて取り組むことを確認~
共同談話(連合・芳野会長と中央会・森会長) 
連合は3月17日、全国中小企業団体中央会(「以下、中央会」)と連合との懇談会を都内で開催し、「中小企業の適正取引と価格転嫁の課題など」をテーマに、意見交換を行いました。
 
冒頭、芳野会長は、まず始めに、「本日は、このあとご報告される『中小・小規模事業者の適正取引と持続的に賃上げできる環境整備に向けた共同談話』を、昨年末から両組織で準備を進め、3月初旬から地方に展開させていただいていることに、お礼を申し上げる。」と述べました。
 
すでに報道されている通り、連合傘下の大手労組を中心に、大手企業では続々と満額回答が報告されている。この波を雇用労働者の7割を占める中小企業にもつなげていかなければならない。先日の15日に開かれた政労使会議においても、労働組合がない多くの中小企業で働く未組織労働者、パート、非正規で働く人の賃上げができる環境を、いかに広げていくことが重要であると発言した。
 
一方で、地域の活性化も重要な課題である。中小企業は、地方経済と地域の雇用を支えている。それぞれの地域の中で経済活力を通じて直接的に「つながり」を持ちながら暮らしていくためにも、その力を存分に発揮できる環境づくりが大切である。
 
最後に、本日の懇談会を機に、中央会と連合が、さらに連携を強化し、「笑顔と元気のプラットフォーム」を通じて中小企業の経営基盤の強化と、地域活性化に向けて共に取り組んでいきたい」と述べました。

森会長は、「今懇親会では、事前に共同談話を取りまとめた上で、中央会で各地域を代表する副会長の皆様から地域の実態をご紹介し、生声に基づく忌憚のない意見交換を行いたい。」と述べたうえで、「度重なる原材料・資材価格の高騰に加え、電力料金の更なる引上げが申請される一方、価格転嫁が不十分な状況に加えて、ゼロゼロ融資の本格的な返済が始まり、資金繰りに窮するなど、深刻度合いを増してきている。」と述べました。
 
「中小・小規模事業者を取り巻く環境は、恒久的な課題である人材不足への対応も急務であり、賃上げは、生活支援のみならず、人材確保のための投資と認識することが必要であると考える。しかしながら、『構造的な賃金引上げ』を実現するためには、安定した原資が必要なことは言うまでもない。まず、高騰している原材料、エネルギー価格の転嫁に加えて、賃上げによる人件費の増加についても、価格に転嫁できるような環境作りが必要である。また、ものづくり補助金、事業再構築補助金などによる生産性向上をはかる設備等への投資と、デジタル化・グリーン化に向けた人材育成についての政府の支援が欠かせない。」
 「雇用の維持と事業の継続を最優先に取り組んでいる中小企業とその従業員のために、『成長と分配の好循環』をどのように広げていくか、労使一体となって付加価値を最大化していくかが問われており、価格転嫁に対する消費者のご理解を得ることも重要である。本日の懇談を今後の私共の活動の一助にしたい。」と述べました。
 
このあと、直近の報告では、中央会からは、「適正な価格転嫁など、収益確保に関する環境整備に向けた本会の取り組み」、連合から2023春季生活闘争の取り組みと「笑顔と元気のプラットフォーム」について、報告しました。
 
その後の意見交換では、中央会の各副会長(北海道、栃木、千葉、愛知、福井、岡山、徳島、福岡)から、自社や組合の価格転嫁、物価高騰への対応や経営の厳しさなど、生の声が報告されました。

地方からは、中小企業は「下請け構造が多層化しているところは価格の引き下げ競争になる懸念があり、優越的地位の濫用に近い。」「公正取引委員会の社名の公表は、氷山の一角である。」「中小企業は原材料や物価高騰などで経営は厳しい。」との意見が出されました。
一方、「中小・小規模事業者の付加価値や稼ぐ力の向上、賃上げにつなげるため、国、県、経済団体、労働団体、金融団体が参加し、『適正な取引・価格転嫁を促し地域経済の活性化に取り組む共同宣言』を行った。公労使と地域が一丸となった取り組むことが必要である。」という意見も出されました。
 
連合からは、「食品関係の調査では、不適切な取引や価格転嫁ができない旨の報告があった。」「地産地消で、地域の中でよいものを作って適正な価格で全国展開していきたい。」という意見が出されました。
 
本懇談会を締めくくるにあたり森会長は、「パートナーシップ構築宣言は、企業名の公表だけではなく、罰則規定を設けなければ実効性があがらない。労使で取り組むことが求められており、公正取引委員会の今後の役割が重要である。政府への要請など、連合と連携し、政労使が三位一体となった取り組みを進めていきたい」と述べました。
 
芳野会長は、「本日は、地域や業界の生の声を聞き実情を認識する良い機会となった。集中回答日を迎え、先行組合から中小未組織に向けて、賃金も物価も安定的に上昇するターニングポイントへとしていきたい。これからが本番である。とりわけ今年は、価格転嫁がどのくらいできるのかが重要である。15日の政労使会議の中で総理から労務費を含めた価格転嫁の話があった。今後は労務費を含めた価格転嫁という言葉で発信したい。今は、消費者の立場からも価格転嫁を考えなければならない時代に入った。製品には適正な価格があり、それを下げるとそこで働いている人の価値も下げることになるので、消費者も企業もお互いに認め合うことがとても重要だということを連合からも発信していきたいので引き続きご協力をお願いしたい。」とまとめました。
 
 
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