連合ニュース 2023年

 
2023年03月15日
「政労使の意見交換」が開催される
~賃上げの社会的波及に向けて政労使が意見交換~

 3月15日夕刻、首相官邸で「政労使の意見交換」が開催され、連合から芳野会長、清水事務局長が出席しました。この意見交換は、春季生活闘争がヤマ場を迎え、今後中小企業における労使交渉が本格化することを踏まえ、中小企業や労働組合のない企業、有期・パート・派遣契約などで働く労働者への賃上げの波及に向けた社会的機運を醸成することを目的に行われたものであり、2月6日の岸田総理大臣と芳野連合会長との面会における芳野会長からの提起を機に実現したものです。
 
(出席者)
政府:岸田文雄 総理大臣、松野博一 官房長官、後藤茂之 新しい資本主義担当大臣、
   加藤勝信 厚生労働大臣、西村康稔 経済産業大臣、古谷一之 公正取引委員会
   委員長、木原誠二 内閣官房副長官、磯﨑仁彦 内閣官房副長官
労働界:芳野友子 連合会長、清水秀行 連合事務局長
経済界:十倉雅和 経団連会長、小林健 日商会頭、森洋 全国中小企業団体中央会会長、
    森義久 全国商工会連合会会長
 
意見交換の中で芳野会長は、以下の意見を表明しました。
〇物価高は労働者の生活に大きな影響を及ぼしている。連合の労働相談でも生活の苦しさを訴える声が多く寄せられ、困窮するひとり親世帯では、子どものおやつを減らす、おかずから肉や魚を減らす例もみられる。連合は5%程度の賃上げ目標を掲げ、多くの組合で積極的な要求が提出され、満額回答を含め要求趣旨に沿った回答引き出しが進んでいる。労使が真摯な協議を重ねた結果であると受け止め、改めて敬意を表したい。これから本格化する中小組合の労使交渉を後押しし、労働組合が組織されていない企業や有期・パート・派遣で働く方々にも賃上げのうねりを波及させ、すべての労働者からの切実な声に応えるため、本会議の開催がその起爆剤としての効果を発揮することを期待する。
〇中小零細企業における価格転嫁が進んでいない実態を踏まえ、政府における一層の環境整備、経済界における「パートナーシップ構築宣言」の実効性確保を求める。消費者が、商品・サービスの価値とそれらを生み出す労働の価値を認め、適正な対価を支払うことができるようにするためにも、賃上げが必要である。
〇失われた30年とも言われる日本経済を復活させるためには、今季1度きりの賃上げでは到底十分ではなく、賃金も物価も、そしてGDPも安定的に上昇する経済へとステージを変えていくための環境整備の取り組みを、政労使で継続していかなければならない。あわせて最低賃金の引き上げも進めていきたい。
〇日本のジェンダーギャップ指数、「女性の働きやすさ」「経済面での男女格差」に関する国際比較で日本が低迷する一因が男女間賃金格差である。中小企業での賃上げの流れを作り出す意味においては、女性活躍推進法で男女間の賃金の差異の把握・公表が義務化されていない300人以下の企業についても、男女の賃金の差異を把握し、実態を分析する必要がある。
〇デフレマインドを払拭し、積極的な人への投資によって実質賃金が継続的に上昇し経済が安定的に上昇するステージへ変えるためには、前述の課題について政労使がしっかりと経過を確認し、必要な対策を打つためのコミュニケーションが必要であり、このような政労使の対話を継続するとともに、地方においても同様の場を設けることを検討していただきたい。