連合ニュース 2022年

 
2022年11月30日
法務省に対して「連合の重点政策」の要請を実施
連合は11月28日、法務省に対して「2022年度連合の重点政策」に関する要請を実施しました。
 
冒頭、清水事務局長が要請の主旨を述べた後、「2022年度連合の重点政策」および重点政策以外で法務省に関連する連合の政策をまとめた要請書を手交しました。髙嶋事務次官は「意見を十分に検討し、令和の時代にふさわしい法務行政をめざして努力する」と応じました。
 
その後、連合から、下記の要請項目について説明しました。
1.労働債権の優先順位を引き上げるとともに、労働債権の一部について、別除権(抵当・質権等)に優先させる制度(労働債権の特別な先取特権)を新たに創設する。
2.裁判員裁判対象事件・検察独自捜査事件に限らず、全事件の取調べの全過程を録音・録画することを制度化する。
3.選択的夫婦別氏制度を導入する。ただし、別氏を選択した夫婦の子の氏については、その出生の際に、父母の協議により、子の称する氏を父または母いずれかの氏とする。

これらについて、法務省は、「法制審担保法制部会で労働債権の保護についても検討が行われている。引き続き充実した検討を求め、法務省としての取り組みを行いたい」「取調べの録音・録画ついては、人的・物的負担を考慮し対象事件を限定した経緯がある。現在、改正刑事訴訟法施行3年後の見直しに向けた検討が協議会で行われており、検討結果を踏まえ所要の対応をしたい」「選択的夫婦別氏制度については、家族のあり方に深く関わり、夫婦の子の氏も含め、国民の間に様々な意見がある。国民各層の意見や国会の議論の動向を注視しつつ検討したい」と回答しました。
 
その後の意見交換では、連合から、「動産・債権にかかる担保法制の見直しは、企業の利便性向上に資する面はあるが、倒産時等における労働債権保護に対する検討が不十分。労働者保護の視点を一層重視すべき」「取調べの録音・録画の対象拡大は、技術的進歩も踏まえて検討すべき。協議会の検討経過も十分周知し、国民の理解を求める努力が必要」「選択的夫婦別氏制度に関しては、家族のあり方やその選択肢に多様性があってしかるべき。子の氏についても法制審ですでに見解がまとまっており、言わばボールは立法府の側にある。国民の声に応えられる対応をとってほしい」と発言しました。

これに対して、法務省は、「労働債権は抵当権等に劣後する一般先取特権なので、担保権を利用しやすくするほど回収が厳しくなることは理解するが、特別な先取特権の創設には法技術的な課題がある。法制審の議論を事務局として支え、厚労省とも連携して考えたい」「改正刑事訴訟法が義務付けていない事件でも相当数、録音・録画をしてきたので、それが公判でどう扱われたか、ファクトに基づき議論している。協議会の議事録と資料は、今後も原則公開で進めていく」「選択的夫婦別氏制度については、子の氏をどのタイミングで決めるのかについては議論があると承知しているが、国民のコンセンサスを得られるよう、引き続き努力したい」と応じました。
 
最後に、清水事務局長が、とくに要請した3項目の反映をあらためて強く求め、締めくくりました。
 
  • 要請の様子