11月28日、「第13回新しい資本主義実現会議」が首相官邸で開催されました。今回は6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」で掲げられた「スタートアップ育成5か年計画」および「資産所得倍増プラン」について取りまとめが行われました。
連合からは芳野会長が出席し、意見書(添付)を提出した上で、次の意見を述べました。
<芳野会長の発言要旨>
■事業成長担保権の創設について
事業成長担保権は、非常に強い力を有する担保権として検討されているが、担保権者の経営関与や労働債権の減少等、課題は山積しており、拙速な議論は行うべきではない。労働債権の優先弁済に加え、あらゆる局面における、労働組合を通じた情報提供や説明、労使協議等の手続きを法定化すべき。
■スタートアップへの円滑な労働移動について
終身雇用や新卒一括採用を見直す考えが示されているが、これらの雇用慣行は、自社の経営戦略や人材育成ビジョンを踏まえつつ、労働者保護の観点から労使の論議によって行われるべきであり、円滑な労働移動のために取り組むものではない。労働移動の促進という観点から、解雇規制や労働法制の緩和につながるような議論がなされることがあってはならない。
■資産所得倍増プランについて
中間層である日本の平均年収は460万円程度であり、医療や子育てなどの負担により、貯蓄にすら回せない層が大半である。まずは持続的に勤労所得が上昇する構造への転換と、全世代の将来の安心につながる社会保障制度の構築を実現すべきであり、順番を見誤ってはならない。
加えて、所得税の見直しを行うのであれば、総合課税化をめざすべきであり、まずは金融所得課税の強化を行うべき。
また、iDeCoは、公的年金の給付と相まって国民生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする制度であり、総合的・多角的に議論すべき。単に家計の資金を貯蓄から投資へ振り向けることを目的に、結論ありきの議論をすべきではない。
以 上