ITUC会長に選出された郷野参与
第5回国際労働組合総連合 (ITUC)世界大会が、2022年11月17日-22日までオーストラリア・メルボルンで開催され、世界130カ国・地域から加盟組織など総勢1,182名(女性代議員割合50.84%)が参加しました。連合からは芳野会長を団長に、連合本部・構成組織から代議員16名が出席しました。
4年ごとに開催され今回で5回目となる大会は、「新たな社会契約」のテーマの下、大会宣言を採択しました。芳野会長も「生産性向上や公正な配分の実現、労使間の課題解決に向けて話し合う建設的な労使関係の構築が、私たちが実現をめざす「新たな社会契約」にとっても有効である」こと、「労働組合の方針・活動におけるジェンダー主流化の促進が必要であり、国内でも取り組みを進めていく」決意などを述べました。ライブ中継された大会ライブでも、芳野会長は「ロシアによるウクライナ侵攻、そしてミャンマーや香港などにおける民主主義の後退と人権・労働組合権の蹂躙に対し、国際連帯や国際労働運動のより一層の強化が必要である」と発言しました。
「グローバルなショックから労働組合が得られる教訓」、「テクノロジーとその労働への影響」、「気候と公正な移行」、「組織化」をテーマに開催されたテーマ別フォーラムでも活発な議論が行われました。連合の代議員も、平和運動・核兵器廃絶への取り組みと連帯の呼びかけ、フリーランサーの労働課題とWor-Qの取り組み、「公正な移行」に向けた課題と取り組みを紹介しました。
また、ITUC規約の改正が提起されました。神津顧問が、民主的運営、透明性、説明責任確保の観点から規約改正作業を主導してきた立場から、「加盟組織・地域組織の思いをしっかりと運動の真ん中に据えていくためにも、この規約改正の精神がしっかりと活かされることを切望する」と発言し、改正案が採択されました。
大会4日目に実施された次期書記長選挙にはケマル・ウズカン氏(インダストリオール書記次長、トルコ出身)とルカ・ヴィセンティーニ氏(欧州労連書記長、イタリア出身)の2名が立候補しました。選挙の結果、ヴィセンティーニ氏が新書記長に当選しました。
大会最終日には、書記長のほか、執行委員会による選出に基づき会長(郷野晶子・連合参与)、会長代理2名(ファインゴールド・アメリカAFL-CIO、リズボア・ブラジルCUT)、書記次長(本部専従)3名(マンズィ・ルワンダCESTRAR、ウレニャ・ローラ・ドミニカ共和国CNTD、テューダー・英国TUC)などからなる新執行部体制を確認しました。連合からは芳野会長が副会長(執行委員会・運営委員会の正委員)、郷野参与が執行委員会正委員、則松副事務局長がITUC本部女性委員会議長(女性委員会代表として執行委員会・運営委員会の正委員)に選出されています。
大会では緊急決議3本(ロシアのウクライナ侵攻-平和 民主主義 権利、イランに関する連帯声明、極右との闘い)も採択されました。
なお、世界大会に先立って、11月16日には第4回世界女性大会が開催され、世界大会に参加する女性代議員約200名が集まり、連合からも8名が参加しました。世界女性大会では、すべての意思決定機関に女性を50%以上入れることなどを記載した成果文書が発表され、実践報告や全体討議、女性リーダーによる座談会などが行われました。閉会にあたって則松副事務局長(ITUC-AP女性委員会議長)は、「組合における意思決定機関にとどまらず、地域の議会や国会にも女性をはじめとした課題当事者が参画し、労働者の生活向上のために条例や法を変えることは、変革のための非常に大きな力となる。本日を契機に、それぞれの組織において、そして、ITUCにおいて、より多くの仲間とつながり、ともに勇気ある新たな一歩を踏み出して、世界の潮流を作っていこう」と呼びかけました。