フランス大使館要請
連合は、唯一の被爆国のナショナルセンターとして、核兵器の廃絶と世界の恒久平和の実現をめざし、核兵器保有国に対して要請や意見交換を継続して行っています。2022年も原水爆禁止日本国民会議(原水禁)、核兵器廃絶・平和建設国民会議(KAKKIN)とともに、9月29日にフランス・ロシア、10月4日にイギリス、10月12日にアメリカの各国駐日大使館を訪問し、「核兵器廃絶」に向けた要請行動を行いました。なお、昨年に続き新型コロナウイルスの影響により、大使館ごとに要請参加者に人数制限があり、中国大使館については書面送付での要請となりました。
<フランス大使館>
連合・内藤靖博総合運動推進局長は「連合、原水禁、KAKKINの3団体で核兵器廃絶の運動を進めている。唯一の被爆国として、広島、長崎で起きた惨状を三度繰り返してはならないということを訴えたい。我々は核兵器禁止条約の発効を歓迎しつつ、核兵器不拡散条約(NPT)体制による核軍縮を期待する。」と述べました。
これに対し、フィリップ・セトン大使は「本年は広島の平和記念式典、長崎の平和祈念式典にも出席し、広島では平和記念資料館も見学した。改めて原爆の痛ましさを感じるとともに、多くの若者が見学に来ていたことに驚かされた。我が国はNPTの考え方に沿って、通常兵器も含めた軍縮と原子力の平和利用に引き続き取り組んで参りたい。」と応えました。
<ロシア大使館>
連合・内藤総合運動推進局長は「ウクライナへの軍事侵攻に際し、核兵器の使用を示唆する発言がなされたが、私たちは強い懸念を抱いている。唯一の戦争被爆国の国民として核兵器が使用されることは断固として容認できない。また、NPT再検討会議では、ロシアの反対により最終文書の採択が見送りとなった。非常に残念な結果となったが、引き続き、積極的に核兵器廃絶に向けた取り組みを行って頂きたい。」と述べました。
これに対して、アンナ・カガネッツ二等書記官は「ウクライナとの問題における大統領の発言は、警戒態勢を強めるということが主眼である。我が国にも核兵器ドクトリンがあり、ロシアが危機に瀕することがない限り使用しない。NPT再検討会議での最終文書の不採択は残念であったが、会議自体は非常に意義のあるものだった。包括的核実験禁止条約(CTBT)をロシアは歓迎しているが、アメリカは対話が継続できないとして、未だに発効できていない状況である。私たちは対話を続けていきたいと考えている」と応えました。
<イギリス大使館>
連合・山根木晴久副事務局長は、冒頭、9月8日に亡くなったエリザベス女王への弔意を示した上で「NPT体制の中で核兵器廃絶に向けた歩みを進めることが重要であり、核兵器禁止条約はその後押しをするものと捉えている。核兵器保有国それぞれに難しい状況が存在するが、貴国のリーダーシップを発揮頂きたい」と述べました。
これに対して、サイモン・ラベンダー二等書記官は「我々も核兵器のない世界をめざしているが、最も重要な枠組みはNPT体制であると認識し、NPTを通じて取り組みを進めている。日本でのG7広島サミットは非常に重要なポイントであり、我々も関係構築に貢献したい。NPT再検討会議は最終文書こそ採択できなかったものの、建設的な議論ができたものと思っている」と応じました。
<アメリカ大使館>
連合・内藤総合運動推進局長は、冒頭、ハリケーン・イアンの被害に対するお見舞いを申し上げた上で「私たちは原爆を投下された唯一の被爆国として、核兵器の廃絶を世界に訴えていく使命がある。アメリカがリーダーシップを発揮し軍縮の成功と核兵器のない世界に向けご尽力いただきたい。」と述べました。
これに対して、ヌルスルタン・エルドソフ政治部安全保障政策課二等書記官は「我々はNPTを重要なものと捉え、その考え方にもとづき取り組みを進めているが、世界情勢も勘案しながらの取り組みとなる。引き続き取り組みを進めたい。」と応えました。
なお、今後、パキスタン大使館へも要請を行う予定です。