主催者挨拶をする芳野会長
2022連合中央女性集会を開催
連合は、2022年10月21日(金)に2022連合中央女性集会を開催しました。集会は3年ぶりに会場に参加者が集う形式とWeb形式を併用して行い、構成組織・地方連合会等から435名が対面で参加し、642アカウントがWeb視聴しました。(参加申し込み人数:1,102名<女性705名、男性367名、どちらでもない1名、無回答29名>)
冒頭、主催者を代表し芳野友子会長が「連合は、昨年10月の定期大会で確認した運動方針において、意思決定過程への女性参画を促進し、その影響評価を行いながら政策などに反映していく『ジェンダー主流化』を初めて掲げた。連合のすべての取り組みに、社会的・文化的につくられた性差にもとづく偏見や差別を解消し、性的指向・性自認(SOGI)を尊重して多様性を認め合うジェンダー平等の視点を取り入れることが必要。一方、世界に目を向けると、ロシアによるウクライナに対しての軍事侵攻により、多くの民間人が犠牲になり、女性、子どもに深刻な影響を与えている。平和について改めて共に考えたい。女性の社会的地位向上は日本国内だけではなく、全世界に共通する課題である。皆さんとともに「ジェンダー平等推進計画」フェーズ1を着実に実行し、労働組合が先頭に立って、ポジティブ・アクションを進めていきたい。本日の集会がジェンダー主流化に向けた契機となることを願う」と挨拶しました。
以後、岡野芙由美中央執行委員の司会で集会が進行し、井上久美枝総合政策推進局長より、「『ジェンダー主流化』で女性を意思決定プロセスに」と題して、2022-2023年度運動方針「重点分野-3:ジェンダー平等・多様性推進をはじめとして、一人ひとりが尊重された『真の多様性』が根付く職場社会の実現」と、連合「ジェンダー平等推進計画」フェーズ1をもとに提起を行い、「未来に向けて、ジェンダー平等実現のために労働組合が率先して取り組む必要がある。みんなで更なる変革と挑戦で大きなうねりを作りたい」と述べました。
次に、佐藤千矢子毎日新聞論説委員が「『オッサンの壁』を壊すには~多様性と無意識のバイアス」と題して基調講演を行いました。
<基調講演のポイント>
(1)政治分野の女性進出
(2)男性優位社会の大手メディア
(3)なくならないハラスメント、差別
(4)労働組合に期待することについて
・政治は社会の制度を決める意思決定の場であり、当事者である女性の意見を反映させるために政治分野への女性進出が必要である。しかし、女性は周囲のアンコンシャス・バイアス、家庭生活と仕事の両立、選挙にかかる費用、ハラスメントなどに悩み、政治活動を断念することが多い。
・女性が政治・経済へ進出するための環境が整備されていない、という意見がある。まずはクオータ制を導入し比率を引き上げることで、環境整備の不備に気づくことが必要。
・クオータ制、選択的夫婦別姓について、経済政策や利便性が意見として述べられることがあるが、第一に女性の人権問題である。しかし、男性が女性の人権問題として受け入れることができるのか。経済政策を理由として挙げているほうが、受け入れやすいという現状がある。
・疑問に感じたことを言語化し、共通認識の形成、問題点を明らかにすることに対して労働組合は大きな役割がある。
続いて行われたパネルトークセッションでは、まず、本田一成武庫川女子大学教授より「クミジョ調査について」と題して、本田教授の研究内容とともに「クミジョの壁・崖」について問題提起を行いました。その後、清水秀行事務局長をコーディネーターとして、佐藤千矢子毎日新聞論説委員、本田一成教授、櫻田あすか副会長により、①男女間格差の実態、②政治分野における女性の参画、③連合の取り組みについて、トークセッションを行いました。
集会アピール採択では、佐々木牧連合香川女性委員会委員長により提案され、採択されました。
締めの挨拶に立った山中しのぶ副会長が、連合「ジェンダー平等推進計画」フェーズ1にある3つのスローガン「Change, Challenge, Movement!」を用いて、「①Change(チェンジ):今日の気づきを意識変化につなげてほしい。②Challenge(チャレンジ):女性だけが頑張ればいいのか。社会運動は連合から始めていく必要がある。男性役員であるクミダンの皆さんもともにチャレンジしていただきたい。③Movement(ムーブメント):芳野会長は就任以来、男女間賃金格差を発信し続けた結果、男女の賃金の差異の把握・情報公表が義務づけられた。発信し続けることは大切である。今日気づいたことを周囲と共有してほしい。この集会の内と外ではギャップを感じる。このギャップをなくしていきましょう」と呼びかけ、集会を閉会しました。
2022連合中央女性集会アピール
私たちは、今日「ジェンダー主流化で女性を意思決定プロセスに~平和で格差のない社会をめざそう!~」をテーマに「2022連合中央女性集会」に集いました。2019年以来の会場参加とWebを併用し、全国の働く仲間の皆さんと、今ある課題やこれから取り組んでいくべきことを共有できました。
未だに収束しない新型コロナウイルス感染症は、とりわけ女性に大きな影響を与え、世界全体のジェンダー・ギャップにも大きな影響を及ぼしています。男女間のすべての格差の解消に必要な期間が100年から132年に延びるなど、格差が解消されないまま、より固定化されてしまう懸念も広がっています。また、ウクライナの地ではロシアによる軍事侵攻が続いており、女性と子どもは男性と比べて、より深刻な影響を受け、その質も異なっていることが指摘されています。
社会の仕組みや制度の弱さなど、男女平等参画、ジェンダー平等に関わる課題が改めて浮き彫りになった今、すべての政策分野にジェンダーの視点を取り入れることが必要です。折しも、社会の流れは差別を許さず、多様性を認める方向に進もうとしています。
今こそ、社会の隅々までジェンダー平等を浸透させるため、私たち自身が労働組合で「ジェンダー主流化」を具現化していかなければなりません。
この「2022連合中央女性集会」で得たことを職場・地域へ持ち帰り、私たち一人ひとりが身近な仲間と共有することが、ジェンダー平等で多様性を認めあう職場・社会の実現につながります。まずは自分の職場で、ジェンダー平等や女性のエンパワーメントをめぐる諸課題について欠けている分野や改善点がないかを点検し、「ジェンダー主流化」で、ジェンダー平等を普遍的かつ中心的な課題にしていきましょう。
2022年10月21日
2022連合中央女性集会
集会の動画はこちら
1. 基調講演「『オッサンの壁』を壊すには~多様性と無意識のバイアス」(佐藤千矢子毎日新聞論説委員)
https://www.youtube.com/watch?v=jW6JKZ_jziU&t
2. パネルトークセッション「オッサンの壁とクミジョの壁・崖~日本の男女間格差と世界の潮流203050」(佐藤論説委員、本田一成武庫川女子大学教授、櫻田あすか副会長、清水秀行事務局長)
https://www.youtube.com/watch?v=G2nsxeXNsLA
3.ダイジェスト版「2022連合中央女性集会 ダイジェスト版(2022.10.21)」
https://www.youtube.com/watch?v=xyHF3KY1UUg&t
配布資料はこちら
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/gender/womenrally2022/index.html