要請書手交
連合は8月5日、大島厚生労働事務次官に対し、「2022年度 連合の重点政策」に関する要請を実施しました。
連合からは、清水事務局長、村上副事務局長、則松副事務局長、佐保総合政策推進局長、冨髙総合政策推進局長が出席しました。
冒頭、清水事務局長が大島厚生労働事務次官に要請書を手交した後、清水事務局長から「今回の要請書には、コロナ禍における労働者の現状を踏まえた項目も多数盛り込んでいる。国民の仕事と生活に直結する厚生労働行政に反映していただきたい」と挨拶を行いました。続いて、大島事務次官が「コロナ禍における社会経済活動と医療体制の両立や、雇用政策・社会保障政策などについて、必要な施策を講じていく。引き続き連携をお願いしたい」と述べました。
その後、要請内容について厚生労働省から以下の回答がありました。
〇技能実習制度および特定技能制度について、総合的な議論を一体的に行い所要の措置を講じていく。事業主指導や多言語相談対応により権利保護に引き続き取り組む。
〇事業者とフリーランスの取引適正化の法制度について、関係省庁で連携し検討を進めている。実質的に「労働者」と認められる場合には、労働関係法令による保護を図っていく。
〇労働債権は生活を支える重要な債権であり、担保法制部会の動向を注視していく。事業再編の態様は様々であり、労働組合への事前情報提供の一律義務付けは慎重な検討が必要。会社分割や事業譲渡では過半数労働組合等と事前協議に努めるとされており、引き続き労働者の保護と雇用の安定に努める。
〇裁量労働制については、検討会で報告書が取りまとめられたところであり、今後、労働政策審議会で丁寧に検討していく。
〇ILO「仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶」条約の批准については、改正法の施行状況や諸外国の動向なども踏まえ、必要な対応を検討する。
〇各事業主への助言・指導等の徹底や女性活躍の取り組みの支援により、指導的地位に占める女性の割合に関する目標の早期達成を目指す。
〇社会保障サービス人材の処遇改善については、仕事の内容に応じた適正な賃金の水準まで引き上げることで、必要な人材確保がなされていくよう検討していく。
〇医療・介護保険の費用負担を負担能力に応じたものとする観点で見直しを実施しており、制度の持続可能性を高めるために引き続き取り組みを推進する。検査体制・保健所体制については、これまで拡充の措置を講じており、今後も必要な対応を行っていく。
※その他、コロナ禍における女性・学生支援、障害者雇用、ハラスメント対策関連法、生活困窮者自立支援制度、子ども・子育て政策についても回答がなされました。
厚生労働省からの回答を受けて、労働法制分野、生活・福祉分野、ジェンダー平等・多様性分野の諸課題に関する意見交換を行いました。
意見交換では、厚生労働省の回答を踏まえ、連合からは、曖昧な雇用については「労働者」概念の見直しが必要なことや、事業再編においては労働者保護の観点に立って広く事業再編に関するルール整備を行うことが必要などの発言を行いました。
最後に、清水事務局長が「労働者にとって厚生労働行政はきわめて重要であり、本日の議論を政策と予算策定に反映していただきたい」と述べました。これに対して、小林厚生労働審議官が「本日認識共有することができた点の具体的対応について、今後連携して前進させていきたい」と締めくくりました。