要請書手交の様子(右:松野官房長官、左:芳野会長)
連合は2022年5月24日、松野内閣官房長官に対して、連合の重点政策に関する要請を、首相官邸において実施しました。
冒頭、芳野会長より「連合は2022年度 連合の重点政策を取りまとめた。新型コロナウイルス感染症対策、当面の経済財政運営および2023年度予算編成において、ご反映いただきたい」との要請主旨を述べ、松野内閣官房長官と要請書を手交しました。
続いて、冨田総合政策推進局長が3点に絞り具体的要請内容を説明し、松野官房長官からは、「いずれも重要な内容であり、関係省庁に検討させる」との発言のあと、個別項目について説明がありました。
最後に清水事務局長から「本年度の重点政策においてジェンダー平等・多様性推進の取り扱いを引き上げた。本項目についても改めてお受け止めいただきたい。」と述べました。これに対し、松野官房長官は、「男女間賃金格差など、政府も共通の問題意識を持っている。女性が社会参画しやすい環境づくりが重要である」と応えました。
<要請内容>
〇雇用労働に近い働き方をしているにもかかわらず労働法の保護を受けることができない者について、契約ルールや最低報酬、安全衛生などについて法的保護をはかる。また、働き方の多様化を踏まえ、早急に「労働者」概念の見直し・拡充に着手するとともに、現行法令においても労働者性が認められる者には労働関係法令が適用されることを周知徹底する。
〇「カーボンニュートラル」の実現に向けては、「公正な移行」、「グリーンリカバリー」の実現やS+3Eの確保を念頭に、イノベーションの基礎となる技術開発や人材育成に向けた支援を行うとともに、経済・社会状況などの不確実性を踏まえた複数のシナリオやオプションを示し、労働組合を含む関係当事者との積極的な社会対話を基本に進め、丁寧な国民的合意形成をはかる。
〇生活困窮者自立支援制度の財源と包括的かつ伴走型の実施体制を強化することに加え、誰もが安心の住まいを確保できるようにする。また、ヤングケアラーの社会的認知度向上の取り組みを強化し、地域で把握し支援につなげる仕組みづくりを進めるとともに、子どもの貧困の解消に向けて、ひとり親家庭への総合的な支援などを強化する。さらに、生活保護の迅速な適用を保障する。
<松野内閣官房長官からの発言>
●フリーランスとして安心して働ける環境の整備は重要である。現行法上雇用に該当する場合には労働関係法令が適用されることの周知を引き続き進める。また、事業者がフリーランスと契約する際の契約の明確化など、新たな保護法制を含む措置を検討している。労働者概念については広範囲の議論が必要と考えている。
●2050年カーボンニュートラル実現に向けては、道筋の全体像を示すクリーンエネルギー戦略の検討を進めていく。また、昨年10月にパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略を閣議決定しており、脱炭素社会へ向かう際の労働移行を円滑に進めるため、職業訓練や再就職支援などの人材育成・人的資本投資を拡大していく。
●生活困窮者の自立支援の機能強化は喫緊の課題であり、相談支援員の増員や住居確保給付金をはじめとした住居支援などに取り組んでいる。ヤングケアラーについては今年度から3年間を集中取り組み期間とし、早期発見・支援につなげるべく広く国民に周知する。また、コロナ禍でひとり親世帯は特に厳しい状況にあり、低所得の子育て世帯向け給付金、職業訓練、住まいの支援などを総合的に行う。