要請の様子
連合は4月20日、厚生労働省に対し、最低賃金行政に関する要請を行いました。
冒頭、清水事務局長が、「2022春季生活闘争の最新の集計結果(4.14)では、平均賃金方式の賃上げ率は2.11%であった。この時期に2%を超えるのは2019闘争以来であり、これは各組合が人への投資にこだわり、粘り強く交渉した結果であると受け止めている。ロシアによるウクライナ侵攻や原材料価格の高騰などの厳しい環境要因もあるが、組織労働者の賃上げの流れを最低賃金の引き上げに結び付けていかなければならない」と述べ、要請書を手交しました。
次いで、仁平総合政策推進局長が、要請書にもとづき特に以下の点を要請しました。
【目安審議について】
地域別最低賃金は、ナショナルミニマムとしてふさわしい水準への改善を目指した目安額が決定されるよう強い指導を行うこと。
なお、昨年度の目安審議は採決という例年にない事態に至ったが、本年度は目安制度の意義を再確認した上で、公労使で議論を尽くし、目安を地方審議会に示すことができるよう、審議会運営をはかること。
【早期発効に向けて】
早期の最低賃金引き上げ発効が全労働者の利益であることを踏まえ、10月1日を軸に、より早期の発効に最大限配慮すること。
【最低賃金の引上げに向けた環境整備】
労務費の上昇分が適切に取引価格に転嫁できる環境整備や業務改善助成金の活用促進など、最低賃金の引上げに向けた環境整備をはかること。
要請を受けた坂口厚生労働審議官は、「岸田政権では、『新しい資本主義』の実現の時代にふさわしい賃上げを実現すべく、賃上げ税制の拡充やパートナーシップ構築宣言の推進といった中小企業が価格転嫁を行うための環境整備などの施策を総動員し、企業が賃上げしようと思える雰囲気の醸成に取り組んでいる」と、政府の基本認識を述べました。
その上で、「最低賃金は、賃金の低廉な労働者の労働条件の下支えとして、重要な役割を果たしている。今国会の施政方針演説でも、岸田総理から『できる限り早期に、全国加重平均1,000円以上となるよう最低賃金の見直しにも取り組む』との発言があった。政府としても賃上げしやすい環境整備に一層取り組みつつ、最低賃金はより早期に全国加重平均1,000円とすることを目指す。今年度の目安は、中央最低賃金審議会において議論いただくが、十分な審議を尽くせるよう、事務局として最大限努力する」と述べました。
その後は、最近の物価上昇や最低賃金の履行確保に向けた課題について意見交換を行いました。最後に、清水事務局長が「最低賃金の引上げによって賃金の底上げをはかる必要がある。誰もが安心して働くことができる社会の実現に向け、ともに努力して参りたい」と述べ、要請を終了しました。
以 上