連合ニュース 2022年

 
2022年04月13日
芳野会長が「第5回新しい資本主義実現会議」で意見表明
 「第5回新しい資本主義実現会議」が4月12日、首相官邸で開催され、連合をはじめ経済団体、企業経営者、研究者などの有識者が出席し、コロナ後に向けた経済システムの再構築などについての意見や提言が行われました。
会議における芳野会長の発言の要旨は次の通りです。
 
<会長の発言要旨>
〇2022春季生活闘争の取り組みについて、4月に入り、中小組合の回答引き出しが本格化してきた。結果につなげるには、中小企業が賃上げできる環境を整えることが重要だ。サプライチェーンにおける付加価値の適正分配、労務費の価格転嫁を含む取引の適正化や直近の物価高対策など、政府には実効性ある対策をさらに進めて頂きたい。
 
〇コロナ禍においては、曖昧な雇用で働く就業者のセーフティネットの脆弱性が明らかとなった。働き方の多様化および社会の実態に合わせた「労働者」概念の見直しこそが先決であり、早急に検討を開始すべきだ。
 
〇産業構造の大きな転換により、やむを得ず対応すべき労働移動に対しては、重層的な雇用対策や社会的セーフティネットの整備などを総合的に実施すべきだ。労働移動は、労働者本人の意思が大前提であり、意に沿わない移動はその後の離職につながりかねない。また、副業・兼業は長時間労働につながりかねず、慎重な検討が必要だ。
 
〇中小企業経営者の個人保証は、安易な倒産を防ぎ、経営への規律を高める観点が含まれている。倒産が労働者の生活に与える影響は甚大で、未払賃金や退職金など労働債権は、担保権等に劣後し、回収できない場合がほとんどだ。個人保証を不要とすることは、安易な倒産を促しかねず、極めて慎重に検討すべきだ。
 
〇事業再編等は、労働者の地位や労働条件に大きな影響を及ぼすものでありながら、労働者保護に関するルールは必ずしも十分に整備されていない。事業再構築における労働者保護政策を整備することが先決だ。
 
〇投資家が企業の持続可能性をESGの指標にもとづいて判断することは非常に重要で、わが国も早期に取り入れるべきだ。特に重要なのは人的資本と人権に関するSの情報だ。人的資本については、非正規雇用を含めたすべての労働者を開示対象にすることも重要だ。人権については、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」にもとづいた企業行動がとられているかがポイントだ。
 
以 上