連合ニュース 2022年

 
2022年03月18日
「全国中央会と連合との懇談会」を開催
中小・小規模事業者の取引に関する課題と経営基盤の強化に向け、課題を共有
 連合は、2022年3月18日、全国中小企業団体中央会(以降、中央会)との懇談会を開催し、「価格転嫁の課題、パートナーシップ構築宣言に関する取り組み」をテーマに意見交換を行いました。
 
 冒頭、芳野会長は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響について「非正規雇用で働く者のセーフティネットの脆弱性が露呈し、さらには原油や食料品などの輸入価格の上昇で、家計や中小企業の経営に影響が及ぼされている」と述べ、「中小企業の価格転嫁の課題、パートナーシップ構築宣言に関して意見交換し、両組織による共同の取り組みなどにつなげていきたい」と述べました。2022春季生活闘争については「中小組合の交渉はこれから本格化を迎える。コロナ禍の中で迎える2022春闘では、月例賃金にこだわり、より強力に推し進め、20年以上にわたり停滞してきた日本の賃金水準を引き上げていきたい。また、「笑顔と元気のプラットフォーム」を通し、中小企業の経営基盤の強化と、地域の活性化に向けて共に取り組んでいきたい」と述べました。
 
 中央会の森会長は、「中小企業・小規模事業者を取り巻く環境は、コロナ禍による需要減少の長期化に伴う売り上げの大幅減や赤字が続いている業種がある中、1年間の返済が猶予された借入金の返済が6月に始まるなど、ますます深刻度合を増している。加えて、ウクライナ情勢の深刻化が生じたため、中小・小規模事業者へのさらなる手厚い支援策が行われることが望まれる。雇用の維持と事業の継続を最優先に取り組んでいる中小企業と、そこで働く従業員のために、労使一体となった取り組みが問われている。本日の懇談を今後の私共の取り組みの一助にしたい」と挨拶しました。
 
 直近の取り組み報告では、連合から2022春季生活闘争の取り組み、中央会からは、人材育成事例及び中小企業の労働実態について報告を受けました。その後の意見交換では、両組織からテーマに沿ってそれぞれ説明がありました。
 
 連合から、「人材育成における外部機関の活用との報告があったが、産業構造の変化に伴う新たな技能取得が必要になる中で、連合も社会全体での技能習得へのサポートが重要と考えている。ICT化、デジタル化において、具体的にどのような対応を検討されているのか、相互に共有させていただきたい。」と提起しました。
 
 中央会からは、「経済産業省が予算をとって展開しているが、ITのプログラムの関係は育成に時間がかかるので、在職者の訓練が中心になる。中央会では人材研修事業があり、補助金が出るのでDXを研究していく」と述べました。
 
 また、地域の中央会からの報告では、自動車部品の取引における価格転嫁の実情や、青果等の流通業の実態などについても述べられました。
 
 続いて、連合から「笑顔と元気のプラットフォーム」の取り組み結果および、取り組み事例を発言しました。「地方連合会では、これまで要請などで全国中央会の皆様と連携をさせていただいている。地域の中で共に連携することが中小企業や地域の活性化につながる」と述べ、今後のさらなる連携について確認されました。
 
 この懇談会を通じて、政府に対しては、価格転嫁円滑化スキームの着実な実行を求めるとともに、中小企業の事業継続と雇用を守るためにも優越的地位の濫用の未然防止、付加価値の適正分配を求めていくことの必要性、また、成長産業への人材確保や育成など、人への投資による経済の好循環を作っていくことなど、こうした取り組みを強化するためには全国中央会と連合がさらなる連携に努めることが重要であるとの認識のもと、「中小・小規模事業者の取引に関する課題と経営基盤の強化に向けた共同談話」に両代表が署名しました。

最後に、中央会の森会長は「中小・小規模事業者は、原材料、エネルギー価格の高騰や労務費等の上昇によるコスト増加を価格転嫁出来ずに、厳しい経営環境にある。本日は、取引環境の整備の重要性など、意見が一致した政策には、問題意識を共同で表明していくことが重要であると感じた。今後とも、中小・小規模事業者の経営基盤の強化に向けて、引き続き、意見交換を行う機会があれば大変ありがたい」と述べました。
 
 芳野会長は、「ものづくり産業、JAMの出身なので、価格転嫁については価値を認め合う社会への取り組みを行ってきた。経営も適正に価値を認め、適正な価格で、消費者もそのことを認めていくということが非常に重要であり、労働組合としても、企業の発展は、働いているみなさんが安心して働き続けられる環境整備や、地域の活性化につながることであり、積極的に取り組みを強化していきたい。今後とも連携をお願いしたい」と述べ、会を締めくくりました。
  • 連合 芳野会長
  • 全国中央会 森会長
  • 懇談会の様子