連合ニュース 2022年

 
2022年02月14日
「第3回未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」で連合の取り組みを報告し、働きの価値に見合った労働条件の必要性について訴える
2月10日、「第3回未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」(主宰:内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、経済産業大臣)がオンラインで開催され、関係業所管庁大臣(厚生労働省、農林水産省、国土交通省)の他、労働界代表として連合芳野会長、経済界代表として、十倉日本経済団体連合会会長、三村日本商工会議所会頭が出席しました。
 
山際内閣府特命担当大臣より冒頭挨拶のあと、萩生田経済産業大臣より、パートナーシップ構築宣言・価格交渉促進月間のフォローアップ、大企業と中小企業の共存共栄に向けた取り組み(取引適正化・付加価値向上等)について報告しました。その後、産業界、労働界、業所管大臣がこの間の取り組み報告を行い、山際内閣府特命担当大臣が締めくくりの挨拶を述べ、閉会となりました。
 
萩生田経済産業大臣
宣言企業数は約6,000社。ただし、大企業(資本金3億円以上)の宣言数は、1割程度に留まっているのが現状。政府としては、宣言企業における取り組み内容を調査するほか、宣言することにインセンティブを高める方策を検討する。
2021年9月「価格交渉促進月間」の成果を確認したところ、価格協議では1割程度の下請企業で、価格転嫁では2割程度の下請企業で、全く実現されていない結果となった。改善の余地があると言わざるを得ない。
下請Gメンによる重点ヒアリングを実施。問題となる事例も散見される。詳細なヒアリング結果については、業界別に整理して、HPで公表させていただく。
こうした状況を踏まえて、中小企業の賃上げ原資の確保や、エネルギー価格・原材料価格の上昇に対応するためにも、大企業と下請中小企業との取引の更なる適正化に向け、5つの取り組み(①価格交渉のより一層の推進、②パートナーシップ構築宣言の大企業への拡大・実効性の向上、③下請取引の監督強化、④知財Gメンの創設と知財関連の対応強化、⑤約束手形の2026年までの利用廃止への道筋)を実施することにより、下請企業との取引の適正化、さらには賃上げしやすい環境の整備に取り組む。
 
十倉経団連会長
経団連では、宣言の周知徹底を行い、経労委報告においても、改めてその意義を強調した。ただし、宣言の認知度は必ずしも高くなく、引き続きの課題である。政府においては、省庁横断的に各業界に対して積極的に働きかけをする必要がある。経団連としても、中小企業における賃金引上げの環境整備の重要性を十分踏まえ、各社に対して宣言に基づく実効性のある取り組みを進めるよう呼びかけ、今後一層宣言の周知徹底をはかる。当面は、春季労使交渉に向けて、日本各地の経営者に経労委報告の内容を説明する中で、宣言の浸透をはかる。あわせて、賃金引き上げについて、今次春季労使交渉においては、各企業に対して引き続き新たな価値創造のための人への投資の拡充や、成長と分配の好循環実現にも考慮した主体的な行動をとるよう呼びかける。
 
三村日本商工会議所会頭
現在多くの中小企業は、コロナ禍にくわえて、原燃料や資材価格の急激な高騰、円安、人件費増に苦しんでいる。日商の調査においても、コストをフルに価格転嫁できていない企業が8割を超えている。
賃上げのためには生産性を向上させ、取引価格を適正化し、原資となる付加価値をめざすしかない。そのため、宣言のさらなる拡大および実効性の強化が必要。「転嫁円滑化施策パッケージ」の着実な実行と、取引適正化に向けた5つの取り組みの力強い推進を要請する。日商は好事例を共有し、引き続き、官民あげて宣言企業の増加と宣言に心を入れていく運動を展開する。
 
芳野日本労働組合総連合会会長
連合は2022春季生活闘争方針で、賃上げできる環境を整えることが重要であり、そのための重要な柱の一つが、パートナーシップ構築宣言の拡大と実効性の強化であることを明確に打ち出しており、労働組合の立場からも、各企業に宣言を働きかける。
宣言企業数は約6,000社となっているが、大企業の宣言数は1割程度であり、拡大にむけてさらなる政府としての働きかけを要請する。また、昨年夏から原油や輸入品価格が上昇している一方、取引価格に十分反映できていないという声も職場から上がっている。2021年9月の「価格交渉促進月間」の実施結果から、価格交渉や転嫁の現状は必ずしも満足いくものになっていない。今後は宣言内容を取引現場で確実に実行できるよう実効性を高める工夫が必要である。中小企業は、今後の取引への影響を懸念して行政機関に駆け込むことにためらいがあると想定される。調査結果や事例の公表など公正取引の判断基準の明確化、匿名での相談などを通じ、社会的雰囲気を醸成していくことが重要である。「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化の取り組み」についても実効性があがるよう具体的に進めてほしい。
連合としても、大企業と中小企業が互いに価値を認め合い共存共栄し、そこで働く者が働きの価値に見合った労働条件を実現できるよう、協力したい。
 
山際内閣府特命担当大臣
大企業と中小企業の取引関係における成長と分配の好循環とは、サプライチェーン全体の付加価値を増大させることと、その生み出された付加価値を大企業と中小企業の双方に適切に分配すること、この2つが車の両輪として機能していくことである。関係閣僚、経団連、日商、連合の皆さまには、成果が発揮されるよう働きかけを行っていただくようお願いする。政府としても、大企業と中小企業の共存共栄に向けて、全力で取り組んでいく。以上の取り組みの成果が、今後の賃上げ、ひいては我が国全体の成長と分配の好循環の実現につながることを期待する。
 
以 上