連合ニュース 2019年

 
2019年06月18日
ILO総会 第三者も含めたハラスメント対策へ 条約の議論終了し、勧告の議論始まる
 ILO総会「仕事の世界における暴力とハラスメント」基準設定委員会における条約策定の議論は、最終日まで残すところあと3日となりました。
 6月17日月曜までに条約の議論が終了し、勧告の議論が始まりました。しかし、議論の予定は大幅に遅れており、6月20日木曜の委員会報告採択に向けて、時間との闘いとなっています。



  この間の大きな変更点としては、第5条の「仕事の世界における暴力とハラスメントを根絶するための包括的かつ統合されたジェンダーを意識したアプローチ」において、「そのようなアプローチは、該当する場合、第三者を含む暴力とハラスメントを考慮に入れるべき」との文言が新たに加わりました。
 これは、第4条の削除により無くなった「第三者」を明記するため、ナミビアがアフリカグループを代表し、第5条に入れることを提案し、カナダによって修正が加えられたものです。労働者、使用者をはじめ、日本政府、EU、中南米カリブ諸国、中東湾岸諸国、アフリカグループなどの多くの国が賛成し、採択されました。
 
 また、第7条の「脆弱なグループなどのための雇用と職業における平等および被差別の権利を確保するための法令および政策採択」に関連して議論された勧告13については、記録投票が行われました。
 この勧告13は、第7条で定める脆弱なグループの具体的なリストが記載されており、昨年の委員会でアフリカグループの強い反対により、条約の第7条から削除され、EUの提案で勧告に挿入されたものです。しかし、その勧告挿入の審議でアフリカグループが「LGBTIが入っているいかなる文書も容認できない」として議場を退出した経過があり、勧告採択の大きな課題となっていました。
 ILO事務局は、総会で大きな議論となりそうな課題について、今年3月に非公式の三者会合を開催しており、事前調整を行っていました。
 そのため、今年の委員会では、勧告13のリストに代わるものとして、EUが「第7条における脆弱なグループなどへの言及は、適用される国際労働基準、人権に関する国際文書に従って解釈されるべきである」との妥協案を提案しました。
 しかし、使用者は、事前に調整が行われていたにも関わらず、リストの維持を主張し、牛歩戦術とも取れる長時間におよぶ演説と記録投票を行うよう動議を行いました。労働者側は、対抗策として、EUの妥協案についても記録投票を行うよう要求し、政府は1カ国ずつ、労使は選出された委員が代表して、賛否を表明する記録投票が行われました。
 その結果、日本政府を含め、ほとんどの国とすべての労働者、一部の使用者がEUの妥協案に賛成票を投じ、勧告の13は採択されました。
 
 また、第11条(f)のドメスティック・バイオレンスに対処するための措置についても、使用者をはじめ、中国、インド、ロシア、ベラルーシが削除の修正案を出し、議論が紛糾しました。しかし、妥協案として、使用者側が「ドメスティック・バイオレンスの影響を認識し、合理的に実行可能な範囲で仕事の世界への影響を軽減する」との修正を提案し、日本政府をはじめ、EU、スイスなどが支持し、採択されました。

 いまだ残された修正案の数は膨大であり、今後は残りの修正案の議論を期間内に終わらせるため、深夜まで議論を行っていく予定です。
 
 以 上