連合ニュース 2019年

 
2019年06月03日
連合「国際労働機関(ILO)における『仕事の世界における暴力とハラスメント』に関する条約採択等に向けた集会および街宣行動」
~成立したハラスメント対策関連法を背景に政府はILO条約案の支持と、批准に向けたさらなる法整備を~
 2019年6月10日~21日にスイス・ジュネーブで開催される国際労働機関(ILO)第108回総会において、「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約案が討議される予定です。一方、国内では、2019年5月29日にハラスメント対策関連法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律)が成立しました。
 2019年5月31日、連合は、同法を背景に日本政府がILO条約案を支持し、条約採択後は批准に向けたさらなる法整備を進めるよう求めるべく、集会を開催するとともに、街宣行動(デモ行進と立憲民主党・国民民主党への要請行動)を実施しました。
 星陵会館で開催した集会には295名(構成組織168名・地方連合会3名・連合本部24名・連合フォーラム議員および秘書49名・関係団体等41名・マスコミ10名)、その後に実施した街宣行動には204名(構成組織165名・地方連合会2名・連合本部32名・関係団体等5名)が参加しました。
 概要は以下のとおり。

1.集会
(1)主催者挨拶
<相原康伸 事務局長>
〇包括的なILO条約案に対して、残念ながら、2019年5月29日に成立したハラスメント対策関連法では禁止規定が見送られ、行為者・加害者の範囲も限定的である。しかし、野党の尽力により様々な論点が明確となり、多くの附帯決議がついた。就活生、フリーランス、教育実習生など社会的に弱い立場にある人たちへのハラスメントも後を絶たない。心に留めて次なる行動に活かしていきたい。
〇ILOは100周年という大きな節目にあり、条約採択となればハラスメントに特化した初めての国際基準となる。一方で、日本政府の昨年の態度保留は多くの失望を買った。今回の法改正は政府の態度を後押しするものであり、条約案を支持するよう強く求めたい。
〇条約が採択されれば、次は批准となる。法律の省令・指針を整備することでより実効性のあるものとし、足らざる内容についてさらなる法改正を求めていくことが重要である。本日の行動をハラスメントなき社会を実現するためのキックオフと位置づけたい。

(2)ILO条約案の動向と連合の取り組み
<井上久美枝 総合男女・雇用平等局長>
〇連合として、この間、官邸やILO議連、各政党、各省庁に働きかけを行ってきている。昨年に続いて参加する今年の総会でも、私たちの思いを労働者側代表にきちんと託すべく、現地で役割を果たしたい。
〇ILOが掲げる「仕事の未来」という意味からすれば、本年は、ハラスメントを根絶するための条約ができた年として歴史に残り、これから社会に出ていく人たちの環境整備につながるはずである。後々後悔しないように、しっかりと取り組んでいきたい。
〇是非、ハラスメントの課題について、職場や地域で共有していただきたい。日本が転換期にあることをアピールしていただき、社会のうねりをつくっていただきたい。新しい国際基準は第一歩。条約の批准まで途切れることなく運動を続けていきたい。

(3)激励挨拶
<郷野晶子 ILO理事>
〇ILOは、100年前の1919年に創設されて以来、女性の問題に注意を払ってきている。ハラスメントは最近の問題だが、バングラデシュでセクシュアル・ハラスメントを訴えた女子学生が焼き殺されるなど、特に発展途上国では深刻な問題となっている。
〇この間、基準設定として採択してほしいと要望し、抵抗する使用者側をおさえつつ、ようやくここまでこぎつけた。条約が採択されれば国内法の整備に大きな弾みがつく。特に発展途上国にとって条約は命綱である。条約が柱となってようやく議論が行われる国もある。日本だけでなく、世界にとって条約が重要な役割を有していることを共有したい。
〇昨年、日本政府は態度を保留したが、できない理由を並べる政府の姿勢を変えたい。なぜ前向きな議論ができないのか。皆様の支援を受けながら努力したい。

<棗一郎 日本労働弁護団幹事長>
〇日本で最初にハラスメントの問題が大きく取り沙汰されたのが、1990年代初頭のリストラの嵐が吹き荒れた頃。その後、様々な事件が噴出している。しかし、法律家の立場からすると判断が難しく、その主な理由は何の立法もなかったから。今回、ようやく法律が実現したが、まだまだ不十分である。もっと実効性あるものにしていかなければならない。
〇一方、ILOの条約案は、仕事の世界におけるあらゆるハラスメントと人を対象としている。特に第5条では、「本条約を批准する加盟国は、暴力とハラスメントのない仕事の世界に対する権利を承認する」などとされている。
〇「日本はハラスメント天国だ」と言われないように、ハラスメントが横行している現状を変えられるように、条約を批准し、国内法をさらに整備して、ハラスメントのない社会を実現するべく、自分たちも闘いたい。

<福田友子 ジョイセフアドボカシー・マネージャー(2019G20サミット市民社会プラットフォームジェンダーワーキンググループ国内コーディネーター)>
〇来月、日本でG20が開催されるが、C20ということで、安倍総理をはじめ各国首脳に市民社会の声を届ける活動を行っている。その中で、今年は6月にILO総会があり、ハラスメントを中心的課題に据えた。
〇特に取り組まなければならないこととして、例えば有害なジェンダー規範、固定概念があり、それらを変えない限り、暴力や差別はなくならない。もう一つは性的マイノリティや非正規の問題で、国連のSDGsはだいぶ浸透してきたが、持続可能でだれ一人取り残されない社会を実現するためにはそのような人たちの権利が守られなければならない。
〇組織として声を上げることも大事だが、今はSNSで発信することができる。特に、次の時代を引っぱっていく若者が声を上げることが重要である。今後も市民社会と連合と、一緒になって声を上げていきたい。

(4)アピール採択
 山中しのぶ中央執行委員(電機連合中央執行委員)より集会アピール(案)を提案し、全体で採択しました。

(5)閉会挨拶
<山本和代 副事務局長>
〇課題と取り組みについて、気持ちを一つにできた。今回の法改正は一歩前進だが、ハラスメントの禁止規定がなく、国内法のさらなる整備のためにも条約の採択は必須である。
〇ハラスメント根絶は世界の潮流。多くの人たちが苦しんでおり、一刻の猶予もない。
〇ハラスメントをなくそう、あらゆるハラスメントを根絶しよう。その意思を示す意味で、全員でプラカードを掲げて世界に発信しよう。

2.街宣行動
 星陵会館を出発し、日比谷公園までデモ行進を行いました。途中、参議院議員面会所前と衆議院議員面会所前で立憲民主党と国民民主党に対して要請行動を行いました。ともに多くの国会議員および秘書、党本部職員に駆けつけていただいた中、代表して、参議院議員面会所前では立憲民主党は石橋通宏議員、国民民主党は川合孝典議員、衆議院議員面会所前では立憲民主党は大河原雅子議員、国民民主党は玉木雄一郎議員(同党代表)に相原事務局長より要請書を手交し、それぞれ挨拶を頂戴しました。
以 上
  • 主催者挨拶する相原事務局長
  • 報告・提起する井上総合男女・雇用平等局長
  • 郷野晶子 ILO理事
  • 棗一郎 日本労働弁護団幹事長
  • 福田友子 ジョイセフアドボカシー・マネージャー
  • 山中しのぶ中央執行委員
  • 閉会挨拶する山本副事務局長
  • デモ行進の様子
  • 要請行動の様子
  • 石橋通宏参議院議員に要請書を手交
  • 玉木雄一郎衆議院議員に要請書を手交
  • がんばろう三唱