連合ニュース 2017年

 
2017年11月21日
政府税調が中間報告を取りまとめる
 政府税制調査会は、11月20日、「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告②」(以下、中間報告)をとりまとめた。本報告は、「所得再分配機能の回復」や「多様な働き方を踏まえた税制の仕組みを構築することの重要性」を念頭に、個人所得課税の見直しと税務手続の電子化の推進について、これまでの調査会における検討結果をまとめたものである。
 
《中間報告の主な内容》
・「税務手続の電子化」については、国民の利便性向上や官民のコスト削減、企業の生産性向上に資するものと位置付け、利便性を高めながらオンライン手続の利用を促進していくとし、その工程表が示された。
・「人的控除の控除方式のあり方」については、見直しに向けた検討を進めるべきとの考えが示され、その方向性の1つに、連合が主張している「税額控除方式」も盛り込まれた。
・「働き方の多様化等を踏まえた個人所得課税のあり方」については、給与所得控除や公的年金等控除といった「所得計算上の控除」から、働き方にかかわらずすべての納税者に適用される基礎控除などの「人的控除」に負担調整のウエイトをシフトさせていくことが適当という考えが示された。
・給与所得控除について、その水準が主要国との比較で相当手厚いとしたうえで、特に高所得者について水準の見直しを行うことが適当という考えが示された。
・公的年金等控除について、公的年金と他の所得を含め特に高額の所得を得ている者について控除の見直しを行うことが適当という考えが示された。
 
《連合の主な主張点》
 この間、政府税調での議論には、神津会長が特別委員として参加し、次の点を中心に主張してきた。なお、この日は欠席のため意見書を提出した(添付資料参照)。
<税務手続の電子化>
○電子申告の普及と利便性向上は、給与所得者における申告納税と年末調整の選択制に向けた環境整備という意味においても継続的に進めるべきである。
<働き方の多様化を踏まえた個人所得課税のあり方>
○「所得計算上の控除」と「人的控除」は、それぞれが重要な役割を担っていることから、単純にそれらをトレードオフするのではなく、諸控除の見直しが与える影響・効果を丁寧に検証する必要がある。
○働く者の状況を十分に踏まえ、給与所得控除の見直しなど税制の変更により、適切な保護を受けられない労働者を増加させることに繋がらないように留意する必要がある。
○依然として存在する事業所得と給与所得との所得捕捉率の格差を鑑み、ICTの更なる活用による所得捕捉の適正化など、不公平の解消に向けた取り組みを進める必要がある。
○特定支出控除の対象範囲についても、技術の進展や働き方の変化などを踏まえ拡大をはかるべきである。
<人的控除の控除方式のあり方>
○所得再分配機能の強化、簡素な税制の構築、社会保障制度における給付との関係を踏まえた検討という視点に立ち、以下の見直しを行うべきである。
・控除方式は所得控除から税額控除に変えることを基本とする
・配偶者控除などは扶養税額控除に統合する
・振り替えできる項目は社会保障給付や各種の支援施策に振り替える
○累進性強化に向けた税率構造の見直し、資産課税や金融所得に対する課税のあり方についても議論を深めていくべきである。
 
 中間報告の内容は、所得再分配機能の強化や社会保障制度の維持・強化に向けた安定財源の確保をはかる観点からは、未だ抜本改革の姿には程遠いものといわざるを得ない。今後、来年度の税制改正に向けた議論は与党税制調査会に移り、12月中旬から下旬にかけて、与党および政府の税制改正大綱が決定され、来年の通常国会に関連法案が提出される見込みである。連合は、「公平・連帯・納得」の税制改革の実現に向けて、引き続き、働く者・生活者の立場に立った税制の確立をめざして取り組みを展開していく。
 
以 上