連合ニュース 2017年

 
2017年09月22日
連合・経済4団体主催「働き方改革・労使シンポジウム」を開催
-労使の創意工夫でワーク・ライフ・シナジーを高める-
会場
 連合は9月22日、経済4団体と共に「働き方改革・労使シンポジウム-労使の創意工夫でワーク・ライフ・シナジーを高める-」を開催し、550名を超える参加者が出席しました。
  冒頭、連合/神津会長からは「本日は、本年2月に開催した経団連と連合のトップ懇談会において、『労使がしっかりとコミュニケーションをとり主体的に取り組んでいることを社会に広くアピールし、『働き方改革』にこめた労使による骨太のメッセージを発信していく必要がある』との共通の思いを踏まえ、それを経済4団体で受け止めていただいたことで開催が実現しました。
  わが国は、少子・高齢化という大きなトレンドの変化に直面しており、生産年齢人口は人手不足という形で既にさまざまな産業・企業で顕在化しているため、より多くの働き手が活躍できる職場や社会の環境整備が求められています。また、人工知能に代表される新たな技術革新の波も、私たちの職場や働き方に大きな影響を与えており、未来をみすえた『働き方改革』を社会全体で進めていく必要があります。
  一方、過労死・過労自殺などの痛ましい事件や雇用形態間の不合理な格差をめぐる訴えも依然としてあとを絶ちません。政府では、働き方改革実現会議の取りまとめをうけて、罰則付きの時間外労働の上限規制や同一企業における均等均衡処遇の基準などの法改正を進めようとしていますが、さまざまな職場があることを考えれば、法律による規制が重要であるとともに、健全な労使関係のもとで問題意識を共有し時代を先取りした取り組みを積極的に進め、『仏つくって魂をしっかり入れる』ことが重要です。足もとでは、立法化が不透明で不可解な政治情勢ですが、私たちは惑わされずに魂を磨いていかないといけません。
  事業計画やそのために必要な人員配置などについてしっかりと労使間で協議するとともに、長時間労働の是正や処遇の納得感を高め、モラールアップをはかることは、社会から求められている役割でもあります。労使は、週40時間制の導入や定年延長など、これまでの『働き方改革』でも知恵を出し合い、経済社会の変化に対応してきました。これからも、すべての働く人たちが『ライフステージに応じた柔軟でディーセントな働き方』をできるように、日本的労使関係の強みを生かして取り組んでいく必要があると考えています。
  『働き方改革』を前進させるためには、経済社会システムの改革も同時に進めていく必要があり、例えば、運送業の働き方を改善するには、荷主や消費者の理解をえながら、これまでの商慣行を見直していくことが不可欠です。働く現場で生み出した付加価値を正当に評価し、お互いに認め合う適正な取引のルールや慣行をつくっていく必要があります。いまも業種ごとのガイドラインの策定と運用が行われていますが、『働き方改革』という視点からも取り組みをさらに拡大・強化していく必要があります。
  また、『働き方改革』の背景にある少子化自体を反転させるには、若者が安心して結婚し、子育てが出来る環境をつくらなければなりません。社会保障の持続可能性に赤信号が灯り、経済格差が教育格差と結びつき貧困の連鎖の一因ともなっています。政府には、すべての国民が安心して働き、暮らしていくことのできる社会基盤をつくる責任があります。目先の弥縫策に終始するのではなく、国民の不安を解消し、その基盤となる『安心社会』の実現に全力を尽くすべきです。
  そして、個別企業の労使だけでは解決できない、こうした政策課題についても、労使が協力して社会にメッセージを発信していくことが重要です。本シンポジウムが、有意義なものとなり、地域レベルでも労使による地域社会への発信が行われることを期待しています。」と述べました。
 
続いて、経団連/鵜浦副会長・労働法規委員長からは「わが国の総人口は加速度的に減少し、政府の推計では、2053年に1億人を割り、2065年にはおよそ8,800万人にまで減少することが見込まれています。総人口の減少は、わが国の経済規模を縮小させ、総合的な国力の衰退を招きかねない国家的な危機であり、社会全体で克服していくべき重要課題です。
  他方、世界に目を向けると、グローバリゼーションの深化により、諸外国企業との競争は一層激しさを増しています。特に近年は、IoTやAIなど革新的技術を取り込んだ新たなビジネスモデルによる競争へと変化しつつあります。まさにパラダイムシフトと言うべき状況のなか、わが国企業が活力を維持・向上させていくためには、女性や高齢者など多様な人材が多様な働き方を選択できる環境を整え、潜在的な労働力を引き出すとともに、革新的技術の発展を成長のチャンスと捉えて、イノベーションの創出を加速させていく必要があります。そのための取り組みの柱の一つが『働き方改革』です。
  本年3月、労使の代表が参画する働き方改革実現会議において、時間外労働の上限規制の導入が決定されました。これは労働基準法70年の歴史の中でも大きなインパクトのある改正です。しかし、法制度は、あくまでも働き方を支えるインフラに過ぎません。働き方改革を実現するためには、労使の意識や企業の商慣行を見直し、創造的かつ生産的な働き方を大いに促していく必要があります。
  私たち労使が取り組むべき具体的課題は、長時間労働の是正や、雇用形態にかかわらない公正な処遇の確保など多岐にわたっています。しかし、労使が知恵を出し合い、大きな歯車を着実に回していくことで、必ず克服することができるものと考えています。その端緒として、本日、経済界と労働界の連携による『労使シンポジウム』を初めて開催することとしました。本シンポジウムを機に、労使一体となった改革のモメンタムが一層力強いものとなることを期待しています。
  さて、働き方改革を推し進めるため、現在、経団連では、会員企業に対して、『長時間労働の是正』『年休の取得促進』『柔軟な働き方の促進』に関する自主行動計画の策定をお願いしており、賛同いただいた企業のKPIと行動計画は、2018年の春頃、経団連のホームページで公表する予定です。他方で、商慣行の見直しなど一企業だけでは解決が困難な問題もあるため、企業の枠を超えた取り組みとして『長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言』を、経済4団体を含む110団体とともに取りまとめました。こうしたさまざまな取り組みを通じて、充実した仕事とゆたかな個人生活がプラスの相乗効果をもたらす好循環を創り出していかなければなりません。自社のご事情に応じた創意工夫を労使で積み重ね、不断に改革を進めていただきたい。」と述べました。
 
その後、東京大学大学院経済学研究科・経済学部の柳川教授より「技術革新と今後の働き方」について講演していただき、続いて、働き方改革の好事例として、企業側より「大和ハウス工業における長時間労働・過重労働防止に向けた取り組み」「損保ジャパン日本興亜におけるダイバーシティ・働き方改革に向けた取り組み」「東急電鉄における多様な従業員の活躍に向けた取り組み」、労働組合側より「電機連合における総実労働時間短縮に向けた取り組み」が紹介されました。
  • 連合・神津会長
  • 経団連・鵜浦副会長
  • 東京大学・柳川教授
  • 大和ハウス工業(株) 菊岡次長
  • 損害保険ジャパン日本興亜(株) 小坂部長
  • 東京急行電鉄(株) 下田統括部長
  • 電機連合 矢木書記次長