事務局長談話

 
2018年07月03日
第5次「エネルギー基本計画」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸
 

  1. 長期計画に相応しい適時適切な点検・見直しが必要
     政府は、7月3日、中長期的・総合的なエネルギー政策の基本的な方針である「第5次エネルギー基本計画」(以下、基本計画)を閣議決定した。基本計画は、パリ協定や変化するエネルギー情勢を踏まえ、2030年のエネルギーミックスの実現と、脱炭素化に向けた2050年エネルギーシナリオの2つで構成されている。政府は、国民生活の維持・向上、産業競争力の確保などの観点から、長期計画に相応しい政策の点検・見直しを適時適切に行っていく必要がある。
     

  2. 再生可能エネルギーの着実な推進が求められる
     再生可能エネルギーについては、2050年を見据えて「確実な主力電源化への布石としての取組を早期に進める」とし、太陽光・風力の大型電源としての活用、FIT(固定価格買取)制度の抜本的見直し、系統制約の克服、調整力の確保などをめざすとしている。これらは再生可能エネルギーの推進に資するものであり、その着実な実行が求められる。
     原子力については、原発依存度を可能な限り低減させるとしたうえで、「2030年のエネルギーミックスにおける電源構成比率の実現をめざし、必要な対応を着実に進める」としている。政府は、原子力発電所の再稼動について、安全性の強化・確認を国の責任において行うことと、周辺自治体を含めた地元住民の合意と国民の理解を得ることを前提とし、原子力規制委員会において策定された新規制基準について厳格に適用するべきである。
     

  3. 雇用への影響を最小限にとどめるための「公正な移行」が必要
     政府は、これらの具体的内容やその実現に向けた道筋、その際の環境、雇用や経済への影響などを明らかにし、国民に随時、丁寧に発信していく必要がある。さらには、社会的パートナーとの対話を基礎としつつ十分な議論を行い、雇用への影響を最小限にとどめるための「公正な移行」を伴うものとする必要がある。
     

  4. 「働くことを軸とする安心社会」に資するエネルギー政策を求めていく
     持続可能で包摂的な社会を実現するためには、安全・安心で安定的な資源確保・エネルギー供給と、低炭素社会への確実な移行が不可欠である。連合は、引き続きその実現に向けた取り組みを進めるとともに、「働くことを軸とする安心社会」の実現をめざし、真にくらしと雇用の安定・向上につながる政策の実行を求め、全力で取り組んでいく。
     
    以 上