事務局長談話

 
2018年06月14日
「女性活躍加速のための重点方針2018」発表に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸
 

  1. 根強く残る“男社会”の中で、女性活躍“以前”の課題の解消が急務
     政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部」は6月12日、「女性活躍加速のための重点方針2018」を発表した。重点方針が、様々な領域において「男性の方が優遇されている」と感じている男女が多く、いわゆる“男社会”が根強く残り、女性活躍“以前”の課題解消の取り組みが不十分であるとの認識を示したことなど、女性の現状への真摯な姿勢を示したことには一定の評価ができるものの、新たな実効性ある施策が打ち出されているとは言い難く、懸念が残る。
     

  2. フェアネスの高い社会の構築に向けて
     重点方針は、女性が直面している様々な困難が解消された「フェアネスの高い社会」の構築を掲げ、①安心・安全な暮らしの実現、②あらゆる分野における女性の活躍、③女性活躍のための基盤整備の三本柱から成っている。今年は、相次ぐセクシュアル・ハラスメントに関する報道を踏まえ、①安心・安全なくらしが最初に掲げられ、あらゆる暴力の根絶の中にセクシュアル・ハラスメント対策が大きく盛り込まれた点が特徴的である。
     

  3. あらゆるハラスメント防止への取り組みの本気度を疑わざるを得ない
     セクシュアル・ハラスメントを含む女性に対する暴力などの根絶について多く記載されたものの、セクシュアル・ハラスメント対策に法整備が盛り込まれず、研修の実施や法令等の周知、相談窓口の整備等にとどまったことは、不十分である。加えて、男性の家事・育児への参画についても、男性への意識啓発のみならず、メディアや教育現場における無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)等、性別役割分担意識の払拭にむけた一層の踏み込んだ取り組みが求められる。また、昨年と比べて女性の健康支援に対する積極的な施策が多く盛り込まれているが、リプロダクティブライツ(性と生殖の権利)への言及がなく、意思に反する身体への介入が懸念される。
     

  4. 世界標準のジェンダー平等への早期の対応を
     政府は、女性の再婚禁止期間や選択的夫婦別氏制度の導入など、国連女性差別撤廃委員会など国内外より、さまざまなジェンダーに関する課題が指摘されていることを重く受け止め、課題解消に対応すべきである。連合は、今後も誰もが働きやすくくらしやすい社会をめざし、組織をあげて、性別や性的指向・性自認(SOGI)に関わらず、あらゆる人の平等な社会の実現に取り組んでいく。
     
    以 上