事務局長談話

 
2018年05月23日
「不正競争防止法等の一部改正法案」の成立についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. データ利活用の促進に資する点は評価
     5月23日、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が参議院本会議において可決・成立した。IoT、AIなどの技術革新に伴いデータ関連技術の開発が進む中で、法改正により、ビッグデータ等の不正取得・使用に対する差止請求の創設など、企業の競争力の源泉となるデータの保護に関する規律が設けられることで、安心してデータを利活用するための環境整備がはかられる点は評価できる。
     

  2. 働く者にとってわかりやすいガイドラインを策定すべき
     改正法が今後適切に運用されるためには、本法における規制要件である悪質性の高い行為などについて、一律の解釈がされることが重要である。政府は、現在検討を重ねているガイドラインにおいて、保護対象となるデータの範囲および規制対象となる行為類型などを明らかにすべきである。また、このガイドラインが働く者にとってわかりやすいものになるよう配慮するとともに、企業規模によらずデータ利活用の促進につながるよう、中小企業の立場からの意見を聴取しながら、検討を進めるべきである。
     

  3. 実態を踏まえた法整備に取り組むべき
     働き方の多様化やデータの流通環境の変化に伴い、規制対象となる事例も複雑化していくことが懸念される。今般の法改正により、企業におけるデータの利活用の萎縮や濫訴が起きることのないよう、政府は、常時検証を行い、データの保護と利活用のバランスを考慮しつつ、実態を踏まえた適切な見直しを検討すべきである。あわせて、データの提供者と利用者の双方の理解促進や倫理観の醸成をはかる必要がある。
     

  4. 連合は引き続き安心して働くことができる環境整備に取り組む
     連合は、働く者の立場から、今後のガイドラインの策定に積極的に関与していくとともに、引き続き、適切なデータ利活用の促進をはかりつつ、安心して働くことができる環境の整備に向け、意見発信を行っていく。
     
    以 上