事務局長談話

 
2018年04月06日
「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」の閣議決定に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 「働く者のための働き方改革」の実現を
     4月6日、政府は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。同法案に盛り込まれている罰則付の時間外労働の上限規制の導入や中小企業における60時間超の時間外労働の割増賃金率に対する猶予措置の撤廃、雇用形態間における不合理な格差の解消に向けた同一労働同一賃金の法整備は、連合が長らく求めてきた事項であり、早期に実現すべきである。一方で、高度プロフェッショナル制度の創設が含まれた形で閣議決定されたことは、誠に遺憾である。
     

  2. 中小企業で働く者の声こそ考慮すべき
     2017年9月に労働政策審議会で諮問・答申された「働き方改革関連法案要綱」から半年余りが経過し、ようやく国会に提出されることとなった法案は、当初の内容から修正されている。具体的には、[1]企画業務型裁量労働制の対象業務拡大部分の削除、[2]すべての労働者を対象とした労働時間の客観的な把握を企業に義務づける規定を労働安全衛生法に格上げ、[3]時間外労働の上限規制の指針に関して、労働基準監督署が中小企業の実態に配慮して助言・指導する旨を附則に追記、[4]一部を除き2019年4月1日とされた施行期日を中小企業に対して1年延期などである。[1][2]は評価できるものの、中小企業の60時間超の時間外労働の割増賃金率に対する猶予措置を含めて施行期日を先延ばしすることは、中小企業で働く者を顧みない判断と言わざるを得ない。
     

  3. 高度プロフェッショナル制度は実施すべきではない
     長時間労働が蔓延し、働く者の命や健康への影響が顕在化している中で、「これ以上働かせてはならない」という時間外労働の上限規制を導入することは、長時間労働を是正するための大きな一歩である。一方で、高度プロフェッショナル制度の創設や過労死等の多い自動車運転業務に適用される上限規制の水準は、大きな問題である。法案審議にあたっては、与野党を問わず、過労死・過労自殺を根絶していくとの強い決意を共有し、真摯な議論が必要である。
     

  4. 民進党、立憲民主党、希望の党の3党と引き続き連携
     連合は、すべての働く者が、働きがいを持ち健やかに働くことができる職場や社会の構築に向けて、構成組織、地方連合会、連合本部が一体となって、地域や職場から取り組みを進めてきた。引き続き、連合フォーラムの場も活用しながら、民進党、立憲民主党、希望の党の3党と連携し、労働組合のない職場で働く者も含め、「働く者のための働き方改革」が実現するよう全力で取り組む。
    以 上