事務局長談話

 
2018年02月16日
厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」中間的な論点整理および医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長  相原 康伸
 

  1. 最終報告に向け、多様な関係者による真摯な議論が必要
     本日、厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」(座長:岩村 正彦 東京大学大学院教授)は、「中間的な論点整理」および「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」を取りまとめることとした。本検討会は、「働き方改革実行計画」において、医師については時間外労働の罰則付上限規制の施行を5年間猶予し、医療界の参加の下で検討の場を設け2年後を目途に具体的なあり方を検討するとされたことを踏まえ、2017年8月に設置された。如何にして医師の勤務環境を改善するのか、2018年度末の最終報告に向けて多様な関係者による真摯な議論が必要である。 

  2. 医療提供体制の改善策こそ、精力的に議論すべき
     「中間的な論点整理」は、勤務医が他職種と比較しても抜きん出た長時間労働の実態にあることを踏まえ、医療の質や安全確保の観点からも、医師が疲弊せずに働けることが重要としている。その上で、[1]医師法の応召義務や宿日直許可基準のあり方、[2]タスク・シフティング(業務の移管)やタスク・シェアリング(業務の共同化)、[3]地域医療提供体制全体を通じた機能分化・連携など、今後の検討に向けた論点が示されている。今後1年余りの検討期間においては、現状を追認するために医師の労働時間制度を見直すのではなく、医師の長時間の過重労働を前提とした医療提供体制を、医療を受ける側である国民の理解も得ながら改善する方策こそを、精力的に議論すべきである。
     

  3. すべての医療機関における適正な労働時間管理が求められる
     「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」は、時間外労働規制を待たずとも、直ちに取り組みを進めることが重要との考えのもとに、個々の医療機関において取り組むべき事項をまとめたものである。「緊急的な取組」では、[1]在院時間の客観的な把握などの労働時間管理の適正化、[2]36協定の自己点検や衛生委員会の活用、[3]看護師など他職種へのタスク・シフティングなどが掲げられている。医師の長時間過重労働を防ぐためには、すべての医療機関において、医師以外の医療従事者も含めた適正な労働時間管理が求められる。
     

  4. 勤務医はまぎれもなく、労働基準法上の労働者である
     医師の長時間労働は、診療科や地域間での医師の偏在、質の高い医療へのニーズの高まりなど種々の要因があり、その解決は決して容易いものではない。しかし、勤務医はまぎれもなく労働基準法上の労働者である。検討会では、若手医師・医学生から「壊れない医師・壊さない医師を目指して」との提言も提出された。連合は、引き続き、検討会への参加等を通じて医師の労働環境改善を求めていく。
    以 上