事務局長談話

 
2018年01月29日
働き方改革関連法案の施行期日をめぐる一部報道についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 1月25日、一部報道において働き方改革関連法案の施行期日を中小企業などについて一部延期すると報じられた。しかし、昨年9月15日に労働政策審議会が厚生労働大臣に答申した法案要綱では、施行日は一部を除き2019年4月1日となっており、十分な準備期間は確保されていた。こうした中で、昨年秋の臨時国会冒頭での解散・総選挙に伴い、法案の提出が遅れたことなどは、施行期日を後ろ倒しにする十分な理由にはあたらない。もし報道内容が事実とすれば、極めて遺憾である。

  2. 長時間労働是正に関する労働基準法改正では、連合と経団連との「時間外労働の上限規制等に関する労使合意」(2017年3月13日)を踏まえて、罰則付きの時間外労働の上限規制を法律で初めて行うこととなった。この施行期日を、中小企業について1年遅らせることになれば、人手不足にある中小企業において長時間労働が蔓延することが懸念される。また、これまで7年以上にわたりダブルスタンダードの状態に置かれていた、月60時間超の時間外労働に関する割増率50%の適用猶予措置が法案要綱では2022年4月にようやく解消されることになっていた。報道では明らかではないが、この点も含めて施行時期を先延ばしするとなれば、中小企業に働く者を顧みない判断と言わざるを得ない。

  3. 雇用労働者の4割近くを占めるパートや契約社員、派遣労働者など非正規雇用の形態で働く労働者の処遇改善も、待ったなしの課題である。この課題の解決に向けては、労使が職場実態を踏まえて、賃金や一時金だけでなく休暇や福利厚生まで含めて、均等・均衡待遇の観点から真摯な協議を重ねていくことが不可欠である。その営みを加速させるためにも、同一労働同一賃金の法整備として予定されているパートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の改正も、速やかに施行できるよう政府は環境整備を急ぐべきである。

  4. 連合は、2018春季生活闘争では、底上げ・底支え、格差是正を継続しつつ、働き方改革についても、法改正に先行し、法を上回る取り組みを展開することを方針として掲げている。その取り組みを確固たるものとするためにも、時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金に関する法案の早期成立が何よりも必要である。今次闘争において、構成組織・単組、地方連合会、連合本部が一体となり、企業規模や雇用形態の違いを超えて、すべての働く者が健やかに働きがいを持てる職場、社会をめざしていく。同時に、働く者のための働き方改革の実現に向けて、野党3党(民進党、立憲民主党、希望の党)の連携を求め、全力で取り組んでいく。

    以 上