事務局長談話

 
2018年01月29日
2018年度介護報酬改定に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会は1月26日、2018年度介護報酬改定に関する加藤厚生労働大臣からの諮問に対し、答申を行った。身体介護として行われる「自立生活支援のための見守り的援助」の明確化や通所介護等における利用者の生活機能改善の取り組みの評価などが含まれる一方、訪問介護の利用回数制限につながりかねない内容もあり、介護職員のさらなる処遇改善は見送られるなど、政府のめざす「介護離職ゼロ」に資する内容となっているか懸念がある。

  2. 掃除や洗濯、調理等の生活援助中心型の訪問介護サービスについて、利用回数が一定以上のケアプランを市町村が検証する新たな仕組みが導入されるとともに、同サービスを提供する職員について短時間の研修で可能とされたが、検証方法や研修内容等は決まっていない。規模の大きい通所介護の報酬が引き下げられる点を含め、厚生労働省と同分科会は、今回の改定が自立の押しつけにならないか、また、単身者を含む要介護者の在宅生活と、家族の就労生活に深刻な影響をもたらさないか、責任を持って検証していかなければならない。

  3. 介護職員の有効求人倍率が年々上昇している中にあって、2017年度に臨時改定が行われたことを理由に介護人材のさらなる処遇改善が見送られ、むしろ今後介護職員処遇改善加算の一部を廃止することとされたことは、遺憾である。人材不足によりサービス利用が困難とならないよう、政府はあらゆる介護人材の一層の処遇改善に向けて、歩みを止めることなく取り組むべきである。

  4. 連合は、介護離職のない社会を実現し、だれもが安心して住み慣れた街でくらし続けられるよう、介護保険制度の持続可能性、国民負担の状況などを総合的に考慮した改定率とすること、訪問介護や通所介護の確保と質の向上、介護人材の確保・処遇改善に資する報酬の改定を求め、政府への要請や分科会での意見反映に取り組んできた。

  5. 介護を必要とする高齢者の大幅な増加が見込まれる中、介護サービスの質・量の充実に加え、仕事と介護の両立を推進する施策の拡充は急務である。連合は、構成組織・地方連合会および「介護離職のない社会をめざす会」と連携し、必要な介護サービスが将来にわたって確実に利用し続けられる介護保険制度とサービス提供体制の確立、人材確保のための処遇改善の実現に向け取り組みを進めていく。
    以 上