事務局長談話

 
2018年01月16日
「民法(相続関係)の改正に関する要綱案」に対する談話

日本労働組合総連合会

事務局長 相原 康伸

 



 



  1. 1月16日、法制審議会民法(相続関係)部会(部会長:大村敦志東京大学大学院教授)は、「民法(相続関係)の改正に関する要綱案」を確認した。民法は社会生活の基本法であり、相続関係は広く一般に影響を与える。「要綱案」は、多様化する家族形態への対応など課題は残るものの、高齢化が進み、相続に関する紛争の増加が懸念される中、判例の明文化や実務に即した方策などにより、円滑な相続に資するものとして期待できる。

  2. 今回の見直しは、民法の相続関係の規定について、大改正が行われた1980年以来、高齢化社会の進展などの社会情勢に鑑み、配偶者の死亡により残された他方配偶者の生活への配慮などの観点からはかられたものである。主な内容は、(1)配偶者の居住権を保護するための方策、(2)仮払い制度などの創設・要件明確化、(3)自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度の創設、(4)遺留分減殺請求権の効力および法的性質の見直し、(5)相続人以外の者の貢献を考慮するための方策など、配偶者保護に限らず多岐にわたる。

  3. 連合は、誰もが当事者となり得る相続において、紛争を未然に防ぐ観点から、  市民の目線で理解しやすい方策となるように同部会の審議に参画するとともに、多様化する家族形態への柔軟な対応を求めてきた。その結果、相続実務の改善などに寄与する内容となったものの、配偶者の長期居住権はその財産的価値を含め複雑な制度で混乱が危惧されるとともに、自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度創設については自筆証書遺言のあり方に関する議論を深める必要がある。また、相続人以外の者の貢献を考慮するための方策において、被相続人の内縁関係や同性パートナーなどが対象となり得なかったのは遺憾である。

  4. 今後、法制審議会総会での決定および法務大臣への答申を経て、早ければ今通常国会に法案提出される見通しである。相続問題は生涯にわたって誰にも起こりうるものであり、その不安を解消していくことは重要である。連合は、国会審議などを通じて、残る懸念点の払拭をはかるべく取り組むとともに、法案の成立後は、円滑な施行に向けて、改正内容をわかりやすく、一般に広く周知されるように求めていく。すべての人が安心して暮らせる社会の実現に向けて、連合は引き続き全力で取り組みを進めていく。
     
    以 上