事務局長談話

 
2017年12月19日
厚生労働省「柔軟な働き方に関する検討会」報告に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長  相原 康伸

  1. 本日、厚生労働省「柔軟な働き方に関する検討会」(座長:松村茂 東北芸術工科大学教授)は、雇用型テレワーク、自営型テレワーク、副業・兼業など、いわゆる「柔軟な働き方」に関する報告を、原案を一部修正の上で年内にとりまとめることを決定した。本検討会は、「働き方改革実行計画」を踏まえ、「柔軟な働き方」3類型のガイドライン策定などを検討するために設置された、有識者のみで構成される検討会である。法的未整備の事項が多く残されている「柔軟な働き方」について、いたずらに普及をはかろうとする政府の姿勢には違和感を覚える。

  2. 報告では、雇用型テレワークについて、現行の「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を在宅勤務だけではなく事業場外勤務全般を対象とするものに改めるとしている。具体的には、使用者による適正な労働時間管理の責務や、いわゆる中抜け時間や移動時間の取り扱いにも触れている。また、サテライトオフィス勤務も事業場外労働の一態様としているが、テレワークにおける事業場外みなし労働時間制の適用はより厳格であるべきである。在宅勤務を含め、使用者による適切な労働時間管理が不可欠である。
     自営型テレワークについては、発注者と就労者の相対契約を前提としている現行の「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」を、仲介事業者も適用関係に含めるなどの見直しを行うとしている。今後は、労働者性が認められる場合には労働関係法令の適用を徹底し、労働者性が認められない場合も契約ルールや最低報酬などについて法的保護をはかるとともに、仲介事業者に対する法的規制を設けることが必要である。

  3. 副業・兼業については、「副業・兼業の促進に向けたガイドライン」を新たに策定するとともに、副業・兼業を原則禁止としている「モデル就業規則」を原則容認へ改定するとしている。長時間労働の是正が喫緊の課題となっている中では、使用者による副業・兼業も含めた労働時間・健康管理が必要不可欠であるが、報告ではその視点が弱いと言わざるを得ない。加えて、複数就業時における社会・労働保険の適用や給付などについて、就労者保護の観点から早急に検討を開始すべきである。

  4. 働く者の希望に応じた働き方の実現は、誰もが安定的かつ公正な処遇のもとで働くことが可能なルール・環境が整備されていることが前提である。「柔軟な働き方」の名のもとに、長時間労働や使用者責任逃れなど、就労者保護の観点から問題となる行為が助長されてはならない。連合は、雇用関係はもとより、請負や委任などの形態で働く者を含むすべての働く者が安心して健やかに働くことができる社会基盤の構築に向け、引き続き取り組んでいく。
    以 上