事務局長談話

 
2017年06月09日
公職選挙法等の一部を改正する法律の成立についての談話

日本労働組合総連合会

事務局長 逢見 直人


  1. 本日、参議院本会議において、「公職選挙法等の一部を改正する法律」が自民党、公明党、民進党などの賛成多数で可決された。本法律の成立により、比例区定数が4減されるとともに、小選挙区定数が6減され、過去最多の19都道府県97選挙区の区割りが見直されることで、2020年の見込み人口における最大較差は1.999倍となった。最大較差は2倍未満となったものの、抜本的な改革は先送りとされており、今後、国会において不断の取り組みが求められると言わざるを得ない。

  2. 最高裁は1票の較差が2倍以上となった直近3回の衆議院選挙について、いずれも「違憲状態」とする判断を示してきた。こうした中、2016年1月に衆議院議長の諮問機関である「衆議院選挙制度に関する調査会」より、小選挙区定数の6減、比例区定数の4減、都道府県への議席配分方法を「アダムズ方式」とすることを内容とする答申がなされた。その後、議論の場は国会に移ったが、党利党略に固執した与党と、野党との間で「アダムズ方式」の導入時期に隔たりがあり、結果、同年5月に、選挙区の「0増6減」を先行し、「アダムズ方式」は2020年国勢調査の結果にもとづき導入することを柱とする与党提出の衆議院選挙制度改革関連法が成立し、今回の改正に至った。こうした経過を踏まえれば、与党は立法府における責任を果たしたとは言い難い。

  3. 本法律は公布後約1ヶ月の周知期間を経て、施行されることとなっている。この間、国会において政府・与党は、周知期間中であっても、そのことが総理大臣の衆議院解散権を制約するものではないとしてきた。しかし、2017年5月31日の衆議院政治倫理・公選法改正特別委員会において採択された付帯決議にもあるとおり、区割りを変更する小選挙区が多数に上ることから、政府は有権者に混乱が生じないよう周知徹底をはかるべきである。

  4. 衆議院小選挙区の区割りの見直しは2013年にも行われており、2020年には「アダムズ方式」による議席配分の見直しを伴う小選挙区の区割りの見直しが予定されていることから、極めて短期間のうちに大幅な改正が繰り返されることになる。すべての政党は、こうした状況も踏まえつつ、投票価値の平等の実現に向け、立法府の責任を果たさなければならない。

  5. 連合は、投票価値の平等も含め、公平・公正でわかりやすく、国民の立場に立った選挙制度を求めていく。 
     
    以 上