事務局長談話

 
2017年05月26日
民法(債権関係)改正法案の可決・成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人

  1. 5月26日、参議院本会議において「民法(債権関係)改正法案」が賛成多数で可決、成立した。本法案は、2015年3月31日に第189通常国会へ提出されたのち、第192臨時国会以降議論がなされ、成立に至った。改正法は公布から3年以内に施行される。民事基本法典である民法における債権関係の規定について、消滅時効の簡明化・統一化、定型約款の明文化などがはかられたことは評価できる。

  2. 本法案は、同法が制定された1896年以来の社会・経済の変化に対応し、国民一般にわかりやすいものにするなどの観点から、国民の日常生活や経済活動に関わりの深い「契約」に関する規定を中心に見直しの対象としている。
     具体的には、[1]消滅時効の簡明化・統一化、[2]定型約款の明文化、[3]保証人保 護の方策の拡充、[4]法定利率の引き下げ・変動制、[5]賃貸借の敷金の明文化など、約200項目が見直される。

  3. 連合は、労働分野の民法ユーザーとしての立場から、法制審議会民法(債権関係)部会の委員として審議に参画してきた。また、国会審議においては、民進党と連携し、労働分野に残る懸念点の解消をはかるべく、今回の改正で新設される定型約款に関する条文が労働契約には適用されないことについて政府の確認答弁を引き出すなど、取り組みを進めた。

  4. 今後、本法案の成立を受けて、賃金および退職金の消滅時効(労働基準法第115条)などについては、労働政策審議会にて議論が行われることとなる。その見直しにあたっては、労働者保護の視点が何より重要である。連合は、改正法の円滑な施行に向け、広く国民に周知を行うとともに、労働政策審議会において民法改正に関係する労働関係法の改正の検討に早期に着手するよう、政府に求めていく。 
     
    以 上