2016年12月21日
学習指導要領等の改善などに関する中教審答申に対する談話
- 本日、中央教育審議会(以下「中教審」)は、第109回総会において「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」を松野博一文部科学大臣に答申した。答申には、①学校と社会が連携し、新しい時代に求められる資質や能力(学びに向かう力・人間性の涵養、生きて働く知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力等の育成)を育む「社会に開かれた教育課程」、②主体的・対話的で深い学びの実現をめざした「アクティブ・ラーニング」、③小学校における外国語教育の教科化、高等学校における「公共」の新設などが盛り込まれている。教育環境への配慮など一部に課題があるものの、より一層のグローバル化や日本社会の成熟を見据えた時宜に適った内容であり、総じて評価できる。
- 答申を受けて、2017年度に次期学習指導要領の内容を周知・徹底し、2018年度から2020年度にかけて、小学校、中学校、高等学校の順で、それぞれ1年ごとに教科書検定と教科書採択が行われる。2020年度には小学校で新たな学習指導要領にもとづく授業が実施されることになる。とりわけ、高等学校で新設される「公共」については、選挙権年齢引き下げの経緯を踏まえ、参政権を含めて、自立した社会人としての基本的な知識や意識を身につけることにもつながるものである。これを機に、学校教育全体を通じて主権者教育をさらに進める必要がある。
- 連合は本年10月、中教審教育課程部会教育課程企画特別部会における次期学習指導要領に関するヒアリングにおいて、労働教育の充実、教職員の長時間労働の是正、教職員の定数改善などの条件整備の3点について意見を述べた。中でも労働教育については、「働くことの意義や労働法などを学ぶ労働教育を充実させ、若者が安心して働き続けることができる社会を実現する必要がある」ことを指摘した。その結果、子ども一人ひとりの社会的・職業的自立をめざすキャリア教育の内容が補強され、働くことの意義を理解し、主体的に様々な働き方の情報を選択し活用していく資質・能力を育む考えが示されるなど、連合の主張の一部が取り入れられた。
- 教育の質を確保するためには、教職員の長時間労働の是正に向けて、学校現場の実態に合わせた教職員の配置の見直しや業務改善が確実に行われることも重要である。連合は引き続き、そうした課題について取り組むとともに、学習指導要領の改訂を契機として、大学での寄付講座や小中高校での出前講座など、労働教育を推進するための取り組みを、あらゆる機会をとらえて展開していく。
以 上