2016年12月14日
厚生労働省「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」報告書に関する談話
- 本日、厚生労働大臣が指名した有識者による「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」(座長:小峰隆夫 法政大学大学院政策創造研究科教授)は、労働政策審議会(以下「労政審」)のあり方の見直しなどを柱とする報告書を取りまとめた。労政審が働き方に関する政策決定プロセスの中心的存在として機能発揮をするために、不断の改革努力をはかることは必要である。報告書には一部に懸念が残る内容も含まれているが、課題提起のひとつとして受け止める。
- 報告書は、中長期的な課題についての議論の不足や、個人請負事業主など旧来の労使の枠にはまりにくい課題の存在などを指摘したうえで、[1]就業構造に関する課題などの基本的な課題を議論するため、労政審本審の下に有識者委員による「労働政策基本部会」を設置すること、 [2]労使委員の選任にあたっては、多様な年齢や雇用形態、商業・サービス業、医療・福祉、IT関係などの委員を増やすなど、産業・就業構造などに配慮すること、[3]多様な意見を反映させるために労使委員以外の臨時・専門委員を臨時的に任命することなどを提起している。そのうえで、これらの改革を労政審委員の次期改選期(2017年4月)を踏まえて行うべきと提言している。
- 雇用や労働に関する政策は、職場実態を熟知した労使が知恵を出し合い、議論・決定することが不可欠である。労使を抜きにしたプロセスで策定された政策は職場実態から乖離し、職場に根付かない。また、労使に政府または公益代表を加えた三者が政策決定プロセスに関与する「三者構成原則」はグローバルスタンダードでもある。報告書では「ほとんどすべての法律の制定・改正を労政審で議論する(中略)慣行を見直し、柔軟な対応を行う」ことも提起されているが、労政審の重要性とその根底にある「三者構成原則」は不変である。労政審で中長期的な課題を積極的に議論することは言うに及ばず、社会の多様な課題解決を進めるためにマクロな政策決定の場に労働者・労働組合の代表が参加し合意形成することこそ必要な方策である。
- 連合は、性別や年齢、雇用形態、企業規模、業種などにかかわらず、すべての働く者を代表するとの決意と覚悟をもって労政審の議論に臨んでおり、その姿勢は何ら揺らぐところはない。連合は引き続き非正規雇用労働者の組織化や未組織労働者の声を把握する活動を展開し、すべての働く者の代表として「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて積極的に議論に参画していく。
以 上