事務局長談話

 
2016年12月07日
労働力需給制度部会報告書「職業紹介等に関する制度の改正について」に対する談話
日本労働組合総連合会

事務局長 逢見 直人


  1. 12月7日、労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会(部会長:鎌田耕一・東洋大学法学部教授)は、「職業紹介等に関する制度の改正について(報告書)」を取りまとめた。その内容は、求人・求職に関わるトラブルの抜本的解消には課題が残るが、求職者保護の観点から職業紹介事業や労働条件明示などに関する規制がおおむね強化される方向であり、一定の評価はできる。

  2. 実際の労働条件とは異なる求人情報により求職者が不利益を被ることは、働く者の人生を左右しかねない問題である。連合がSNSで募集した「ブラック求人」の体験談には3,000件を超える投稿があり、悪質な実態が浮き彫りとなった。近年では多様なメディアが求人・求職に介在することからも、新たなルールづくりが必要となっている。こうしたことから、連合は求職者保護を強化する観点で、雇用仲介事業全体に対する法規制の整備と労働条件明示ルールの厳格化を強く求めてきた。
       報告書の主な内容は、(1)職業紹介事業者の求人不受理対象の拡大など関係法令の整備、(2)求人広告などの募集情報等提供事業に関する規定の職業安定法に基づく指針への追加、(3)委託募集の許可制などの維持、(4)求人者などの労働条件等明示に関する義務の明確化と指導監督の強化などである。
       そのほか、報告書には、職業紹介責任者講習の拡充、求人者などにおける当初の明示と異なる労働条件明示の義務化、固定残業代の明示に関する指針の充実、指導監督の強化などの施策が盛り込まれた。

  3. 一方で、募集情報等提供事業に関する規定が指針への追加にとどまったことは、不十分と言わざるを得ない。また、虚偽の条件を呈示した求人者を罰則の対象とすることは一定の前進ではあるものの、「虚偽」の立証が困難であることから実効性には疑問が残る。さらに、職業紹介事業者間の業務提携に関しては、提携事業者間において、求職者の個人情報などの適正な管理が担保される方策が必要である。これらの課題を踏まえ、不適正な事業者や求人者に対する行政指導などをいかに強化していくかが今後の課題であり、指導体制の拡充なども求められる。

  4. 今後、労働政策審議会職業安定分科会において報告書の建議が行われ、同分科会での法案要綱の審議を経て、通常国会に法案が提出されることが見込まれる。連合は、法案審議において、残された課題の解消に向け、より実効性のある法律となるよう働きかけを行うとともに、雇用仲介事業が多様化する中で、いかなる事業形態であれ、一定の規制の下で適正な運営がはかられるルールづくりをめざす。すべての働く者の雇用の安定と公正な労働条件の確保のため、真に求職者保護に資する法規制が実現するよう、取り組みを強めていく。
     
    以 上