事務局長談話

 
2016年12月07日
「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案」の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人

  1. 本日、参議院本会議において、学校教育以外の学びを支援する「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案」が賛成多数で可決、成立した。本法案は民進党を含む議員連盟による議員立法として国会に提出されていたものである。本法案の成立は、さまざまな事情で学校に通うことができない多くの子どもの学ぶ権利の保障につながるものである一方、家計への経済的支援など一部に課題が残されている。

  2. 本法案の主な内容は、全国の小中学校で約12万6千人に達している不登校の子どもに配慮した教育課程の特例校や学習活動を支援する教育支援センターの設置、民間団体と連携した相談体制などの整備、義務教育を受けられなかった15歳以上の者への中学校夜間学級での教育機会の確保などを国や地方自治体に求めるものである。中学校夜間学級は、ボランティアによる自主夜間中学などを含め、全国に300以上あるとされる。こうした中学校夜間学級が法的に位置づけられ設置が進められることは、すべての子どもの学ぶ権利を保障する一助となる。

  3. 国会審議では、不登校の児童生徒のうち約4千人が通うフリースクールの法的な位置づけが論点となり、法案の修正で見送りとなった。その一方で、法律の附則で「必要な経済的支援」を検討することが明記された。運営団体などからは、「学校に通えない子どもたちの居場所づくりを進めることができる」と理解を示す声がある一方で、保護者からは、授業料負担が毎月平均で約3万3千円にものぼることから「経済的な理由で通うことを諦めてしまう」との懸念も示されている。今後、確実に財政措置がなされるよう、注視していくことが必要である。
     

  4. 衆参両院の附帯決議に「教職員が児童生徒と向き合う時間を十分に確保できるよう、必要な措置を講ずること」とあるように、教職員が一人ひとりの子どもと向き合える時間を確保することも、学校教育の中で包摂的な教育環境を実現するうえで重要である。
    連合は、やむを得ず学校教育を受けられない子どもたちの教育の機会を保障しつつ、すべての子どもを教育の場に包摂していくため、家計の教育費負担の軽減も含め、引き続き取り組みを進めていく。
    以 上