2016年10月12日
「パリ協定」批准承認案の閣議決定に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人
- 安倍内閣は10月11日、昨年末のCOP21において合意された新たな地球温暖化対策の枠組みである「パリ協定」の批准承認案を閣議決定し、国会へ提出した。パリ協定は、発効要件である「55カ国以上の批准、かつ批准国の温暖化効果ガス排出量割合が世界全体の55%超」をすでに満たしており、規定にもとづき11月4日に発効する。連合は、協定の早期発効を歓迎するとともに、国会における迅速な批准を要請する。加えて、11月7日からモロッコ・マラケシュで開かれるCOP22において「パリ協定の具体化」に向けた十分な成果を伴う議論が行われることを期待する。
- パリ協定は、米国、中国、欧州連合をはじめとする温暖化効果ガスの主要排出国が、高い危機意識を持つ中で早期に協定締結のための国内手続きを終えたため、異例の速さともいえる採択から11カ月での発効となる。これを受けて、COP22ではパリ協定の第1回締約国会議(CMA1)が開催される可能性が高い。こうした状況の中で、わが国が、CMA1に「締約国」として参加する要件である「10月19日までの批准」が極めて難しい状況にあることは遺憾である。
- CMA1の開催までにパリ協定の指針策定などが完了できない場合、CMA1を一時中断し、パリ協定特別作業部会(APA)での作業を延長する可能性があるとはいえ、具体的な協定の制度構築を検討することとなるCMA1に日本が締約国として参加できないことで、今後の国際議論の中での日本の発言力が低下することも懸念される。連合は、日本の国益にかなう「制度の具体化」に向けて、与野党が協力し、臨時国会における迅速な国会承認が行われることを要請する。
- 連合と国際労働運動との連携によって、温暖化対策による雇用への影響を最小限にとどめる施策である「公正な移行」と「ディーセント・ワーク」をパリ協定に盛り込むことができた。連合は引き続きこれらの具現化に向けた運動を展開するとともに、温暖化対策の分野における日本の強いリーダーシップ発揮に向けた政府の対応を求めていく。
以上