事務局長談話

 
2016年03月29日
2016年度税制改正関連法案の成立についての談話
日本労働組合総連合会 事務局長 逢見 直人

  1. 3月29日、「所得税法等の一部を改正する法律案」(税制改正関連法案)が参議院本会議において与党などの賛成多数で可決・成立した。本法案の最大の争点であった消費税の軽減税率制度(以下、「軽減税率」)については、真の低所得者対策にならないなど数多くの問題点があるにもかかわらず、政府から納得のいく説明がなされないままにその導入が決まった。選挙対策ともいえる政府・与党の妥協のもとで国の根幹にかかわる税制を大きく歪める決定がなされたことは、極めて遺憾である。

  2. 2017年4月に導入が予定されている軽減税率は、低所得者対策が目的であるにもかかわらず高所得者ほど大きな恩恵を受ける、軽減の対象となる品目の線引きが難しい、システム改修や従業員教育などの事業者負担が大きいといった問題がある。加えて、社会保障制度の維持・充実にあてられるはずであった消費税収が約1兆円も失われることとなり、少子・高齢社会の進行に対する国民の生活不安を更に増長させるものである。
     連合は、軽減税率の導入に一貫して反対するとともに、「給付つき税額控除」と「総合合算制度」の導入を求めて全国でのキャンペーンや国会傍聴行動などを展開してきた。今後も政府の無責任な姿勢を強く非難するとともに、天下の愚策ともいえる軽減税率の導入撤回を求めていく。

  3. その他の改正では、地方税の偏在性是正の目的から、法人住民税の一部を地方交付税化する地方法人税が拡大されることとなった。しかし、安定的で遍在性の小さい地方税体系の実現に向けては、国税・地方税の税源交換など幅広い議論を尽くし、抜本的な改革がなされるべきである。
    また、自動車関係諸税の環境性能課税について具体的な制度設計がなされたが、これは同時期に廃止される自動車取得税の付け替えともいえる内容であり、自動車関係諸税の軽減・簡素化にも反するため問題である。

  4. 税制改革を含む政策・制度実現の取り組みは、春季生活闘争の賃金・労働条件改善とともに、すべての働く者の生活改善・格差是正に向けた運動の両輪である。連合は、この二つの取り組みが最大限の成果を発揮し、真のくらしの底上げにつながるよう、引き続き組織一丸となって運動を展開していく。


以上