2016年02月29日
経済連携協定(EPA)介護福祉士の就労範囲の拡大などに関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人
- 厚生労働省の「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」は2月26日、「経済連携協定に基づく介護福祉士候補者等の更なる活躍を促進するための具体的方策」を議論し、経済連携協定(以下、EPA)にもとづき介護福祉士の資格を取得した者の就労範囲の拡大を認めることなどについて、検討会としての方向性を確認した。しかし、EPA介護福祉士の訪問介護での就労を認めることは、人権擁護および安全な介護提供体制の観点からも課題が多く、認められない。
- 「具体的方策」の検討は、「『日本再興戦略』改訂2015」で定められたものであったが、検討会は本年1月まで開かれず、わずか3回の会議でまとめられた拙速な結論であるといわざるを得ない。EPA介護福祉士の訪問介護の就労解禁について、連合は検討会の場において、人権侵害の防止体制が不可欠であるため日本人介護福祉士の同行を要件とすることなどを求め、人権擁護体制が確認できない現状での実施は容認できないと強く主張した。その結果、訪問介護への就労を認めるにあたっての「必要な措置」については、引き続き検討することとされた。
- 「必要な措置」の検討にあたっては、生命・身体に関わる業務の特性を踏まえた十分な日本語能力(N2以上)や経験年数はもとより、通報・相談窓口の整備等による人権侵害行為などの防止および対策、また、これらの条件の履行確認体制を整備することは不可欠である。EPA介護福祉士に対する人権侵害が生じ、それが外交問題に発展することで、わが国に対する国際的な信頼やEPA制度を揺るがすことのないよう、時間をかけて丁寧な議論を積み重ねるべきである。
- 介護サービスのニーズが増加する中、介護人材の確保・定着対策を強化し、介護を必要とする人が確実にサービスを受けることのできる介護提供体制の構築は急務である。そのためにも介護職場で働くすべての労働者の処遇改善や社会的地位の向上がはかられなければならない。こうした立場から、連合は引き続き、安心・安全で納得できる介護の推進に向けて取り組みを進めていく。
以上