2016年02月23日
同一労働同一賃金の検討に関する総理指示に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人
- 2月23日、「一億総活躍国民会議」(議長:安倍晋三内閣総理大臣)が開催され、その中で安倍総理は同一労働同一賃金の法制化の準備を進めるべき旨を指示した。総理指示の内容は、[1]わが国の雇用慣行に十分に留意しつつ、同一労働同一賃金の実現に向けた法改正の準備を進めること、[2] どのような賃金差が正当でないと認められるかについて早期に政府としてガイドラインを制定すること、 [3]そのために法律家による専門的検討の場を立ち上げること、というものである。同一労働同一賃金に向けた「法改正」の内容はつまびらかではないが、非正規労働者の処遇改善に向けた法整備は正社員転換の促進などとともに、重要な施策である。
- 連合はかねてから、雇用形態にかかわらない均等待遇原則の法制化を強く求め続けてきた。パートタイム労働者や契約社員、派遣労働者など非正規雇用労働者は、雇用労働者の約4割を占め、民間・公務を問わず現場で不可欠な存在となり、主に自らの所得で生計を支える非正規労働者の割合も上昇している。しかし、賃金・一時金だけでなく休暇や福利厚生などの格差がある。均等待遇原則の法制化は、現状を改善する政策の柱であり、労働政策審議会での議論を早期にスタートさせるべきである。
- 一方で、政府・与党の姿勢には疑問も残る。つい数カ月前の労働者派遣法改正法案の国会審議において、野党対案として国会提出された「同一労働同一賃金推進法案」を骨抜きにした政権が、唐突に同一労働同一賃金を取り上げている。参議院選挙を控えた「イメージ戦略」に終わることがないよう、実効性のある法規制を実現しなければならない。
- 非正規労働者の処遇改善は労働運動にとって極めて重要な課題である。連合は、従来から非正規労働者の組織化に精力的に取り組んでおり、2016春季生活闘争においては「底上げ・底支え」「格差是正」を前面に掲げ、非正規労働者の総合的な労働条件改善の取り組みを進めている。どのような雇用形態にあっても、すべての働く者が不当に差別されることなく、労働の尊厳が守られ、働きがいを持てる社会をめざして、連合は均等待遇原則の法制化に全力で取り組んでいく。
以上