2016年02月10日
社会保障審議会年金部会における「GPIF改革に係る議論の整理」とりまとめに対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人
- 社会保障審議会年金部会は2月8日、「GPIF改革に係る議論の整理」をとりまとめた。とりまとめは各論併記となったが、多数意見として、合議制機関の「経営委員会」を導入するガバナンス改革を行うことや、GPIF自らが株式に対して直接投資を行う、いわゆる株式のインハウス運用等を事実上先送りする方向性が示されたことは評価できる。しかし、経営委員会の構成員10名のうち、拠出者である労使の参画が各1名にとどまったことは、被保険者の意思の確実な反映という観点からは、全く不十分である。
- 年金部会では、昨年12月から2ヶ月間で拙速に議論が進められた。「専ら被保険者のため」という、運用における法目的が全委員に共有されなかったこと、株式のインハウス運用やオルタナティブ資産への直接投資の解禁を必要とする合理的な説明が最後までなされなかったこと、公的年金と職域年金を混同して議論がなされたことなど、乱暴な議論となったことは残念である。
- 「議論の整理」で多数意見とされた内容には、デリバティブの規制緩和も含まれているが、法令で利用目的をリスク管理に限定した上で、ガバナンスの強化をはかることが不可欠であり、さらに情報公開の徹底により、投機的な運用が確実に排除されなければならない。また、経営委員会の任命基準等を定めるために社会保障審議会に新設される会議体には、拠出者である労使を複数入れ、全構成員の選任に関与できるようにすべきである。
- 今後、厚生労働省において、法案が策定される見込みである。連合は、経営委員会の構成員に拠出者の代表を複数入れ過半数を労使が占めることが基本となるよう、「クラシノソコアゲ応援団! 2016 RENGOキャンペーン」により世論を喚起するとともに、国会審議などを通じて、連合の政策実現に向け取り組みを強化する。
以上