事務局長談話

 
2016年01月27日
「商法(運送・海商関係)等の改正に関する要綱案」に対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 逢見 直人

  1. 1月27日、法制審議会商法(運送・海商関係)部会(部会長:山下友信東京大学大学院教授)は、「商法(運送・海商関係)等の改正に関する要綱案」を確認した。「要綱案」では、国際条約などを一義的に当てはめることにより労働者保護が後退するという懸念が概ね払拭されるとともに、現代社会に適合した規定となり、現場の実態に即した内容となる点で一定の改善が期待できるものと受け止める。

  2. 「要綱案」は、商法の運送・海商関係の規定について見直しをはかることを目的とするものである。具体的には、同法が制定された1899年以来の社会・経済情勢の変化への対応をはじめ、荷主、運送人その他の運送関係者間の合理的な利害の調整、海商法制に関する世界的な動向への対応などの観点から、現行の商法に規定がないものについて国際条約などと整合する法律の整備を中心としている。

  3. 本部会において連合は、主に[1]雇用関係の船舶先取特権、[2]荷送人の義務、[3]運送人の責任、[4]定期傭船契約について、労働者の保護に資する改正を行うべく、幹事として審議に参画してきた。特に船舶先取特権については、とりわけ船員の特殊な労働環境に鑑み、労働債権の範囲を狭めることのないよう、強く意見を述べてきた。その結果、これらの点について、連合の考えに概ね沿った内容となったことは評価できる。しかし、依然として解釈に委ねられる部分も残っている。

  4. 今後、法制審議会総会での決定および法務大臣への答申を経て、改正法案が国会に提出されることとなる。連合は、国会審議などを通じて、誤った解釈を生じさせるような懸念点の解消を求めるとともに、その早期成立に向けて全力で取り組んでいく。


以上