事務局長談話

 
2015年12月22日
労働政策審議会建議「仕事と家庭の両立支援対策の充実について」に関する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 逢見 直人

  1. 12月21日、労働政策審議会は、雇用均等分科会の報告にもとづき「仕事と家庭の両立支援対策の充実について」建議を行った。介護分野を中心に、柔軟に利用しやすい制度への見直しや、育児・介護休業法の制定以来の懸案である有期契約労働者の休業取得要件の一部緩和などについては一定の評価ができる。しかし、育児・介護と仕事の両立支援の拡充に向けて連合が強く主張した介護休業期間の延長や育児における短時間勤務制度の子の対象年齢の引き上げなどが盛り込まれず、不十分な内容と言わざるを得ない。

  2. 建議では、介護分野に関して、(1)介護休業の分割取得、(2)介護休暇および子の看護休暇取得の柔軟化、(3)所定労働時間の短縮措置などの選択的措置義務の延長、(4)所定外労働の免除の新設などの見直しが盛り込まれたことは、一定の前進であると受け止める。
    一方、雇用均等分科会において連合は、要介護者が施設に入れない期間が長いなどの調査結果にもとづき、介護休業期間の延長を求めてきたが、今回の建議には含まれておらず、残念である。

  3. 育児に関しては、(1)有期契約労働者の育児休業取得要件の一部緩和、(2)妊娠・出産・育児休業・介護休業を理由とする不利益取扱いや嫌がらせの防止措置義務の新設、(3)派遣先での派遣労働者に対する不利益取扱いの禁止などが盛り込まれたことは、一定の評価ができる。しかし、連合が主張してきた有期契約労働者にかかる育児休業取得要件の撤廃が一部緩和にとどまったことや、育児に伴う短時間勤務制度の対象となる子の年齢引き上げが見送られたことは今後の課題である。

  4. 今後、この建議をもとに、育児・介護休業法の改正案が第190通常国会に提出されることが想定される。連合は、ILOなどが求める国際基準を満たす水準の制度を実現するべく国会における働きかけを強めていく。同時に、男女がともに仕事と生活を調和させることのできる社会の実現に向けて、引き続き積極的に取り組む。


以上