事務局長談話

 
2015年07月06日
女性活躍加速のための重点方針2015に関する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1. 内閣官房に設置された「すべての女性が輝く社会づくり本部」は6月26日、「女性活躍加速のための重点方針2015」を発表した。女性活躍の予算関連方針として、初めて発表されたこの方針は、女性活躍を人口減少社会への対応や経済成長の一環との位置づけを全面に掲げており、男女の人権の尊重や個性と能力の発揮などの考え方が見られない点に、懸念が残る。

  2. 重点方針は、既に法で禁止とされていながら、相談対応等も含めた防止措置においで課題を有する、マタニティハラスメントの法改正を打ち出している。これは、この間の連合も含めた広範な社会運動の成果が政府方針にも波及した結果であり、方向性については評価できる。

  3. 一方で、女性労働者の過半数を占める非正規雇用労働者については、正社員転換や均等・均衡待遇などの言葉に触れてはいるものの、具体的な施策に関する記載はない。多くの女性労働者が、生計を維持するための賃金も十分に得ることのできない不安定な雇用の下にある中で、女性活躍は成し得ない。また、新たに「平和・安全保障分野」において女性隊員の一層の活躍の推進が掲げられているが、関係法案が極めて問題の大きい内容である中で、遺憾と言わざるを得ない。

  4. また、今年度から毎年、男女共同参画社会基本法に基づく男女共同参画会議が、重点方針に基づいた各府省の「予算の重点化・効率化を図る」という画期的な取組も盛り込まれた。本来、男女共同参画会議は、男女の人権の尊重をはじめとした男女共同参画社会基本法の理念に基づいて意志決定をする場である。しかし、経済偏重の「女性活躍」の重点方針に基づいて予算編成に取り組むとすれば、これは主客転倒であり大きな懸念が残る。

  5. 連合は、全ての女性がいきいきと活躍できる固定的性別役割分担意識をなくした男女平等な社会の実現を目指し、全力で各政策の実現を目指していく。


以上