事務局長談話

 
2015年06月19日
労働者派遣法改正法案の衆議院可決に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生

  1. 労働者派遣法改正法案が6月19日、衆議院本会議において可決された。同法案は“生涯派遣で低賃金”の派遣労働者を拡大させるとともに、現在の派遣労働者の雇用不安を増大させる内容である。審議の中で、直接雇用化などの「雇用安定措置」の実効性が全くないことなど、問題点が次々と明らかになってきたにもかかわらず、十分な審議が尽くされないまま衆議院可決に至ったことは誠に遺憾である。

  2. 同法案は、企業にとって“安くて使い勝手のよい”派遣労働を一層拡大させようとするものであり、我が国の雇用の在り方に重大な影響を及ぼす改悪法案と言わざるを得ない。また、労働者派遣制度の2つの世界標準の考え方である、「派遣は臨時的・一時的業務に限ること」及び「均等待遇」の両方を満たしておらず、低処遇を放置したまま常態的な間接雇用法制を実質的に導入するものである。さらに同法案が成立すれば、現行では派遣期間制限の対象外である専門26業務の派遣労働者も雇用打ち切りのリスクに晒されることとなり、派遣労働者の雇用不安が一層強まることは明らかである。

  3. 同法案の国会審議前には、厚生労働省の局長が、本年10月に予定される「労働契約申込みみなし制度」の施行前に法改正を行わなければあたかも専門26業務に従事する派遣労働者全体が失業するかのような怪文書を、与党を中心に配布していたことが明らかとなった。法案審議の前提となる重要な情報を、全く根拠のない不正確な内容に歪曲し、国会審議を自らの都合のよい方向へリードしようとする厚生労働省幹部の行動は、極めて不誠実であり看過できない。

  4. 民主、維新、生活の野党3党が、派遣労働者と派遣先に雇用される労働者との均等待遇の実現を図るために共同提出した、いわゆる「同一労働同一賃金推進法案」について、維新が与党との修正協議を単独で行い、同法案可決の見返りとして派遣法改正法案の採決に応じる方針に転じるなど、不可解な展開となった。
    また、国民生活に多大な影響のある年金個人情報流出問題が噴出したにもかかわらず、法案審議と年金問題の審議が断続的に行われ、原因究明が進まないばかりか、被害の範囲すら明らかとなっていない。国民の目から見て極めてわかりにくく、労働者・生活者不在の委員会運営が行われたことは問題である。

  5. 連合は、参議院における労働者派遣法改正法案の徹底審議を強く求めるとともに、“生涯派遣で低賃金”の派遣労働者を拡大させる同法案を廃案に追い込むべく、組織の総力を挙げた取り組みを一層強力に展開していく。また、過労死を助長しかねない労働基準法の改悪についても阻止すべく、民主党と連携して今後の国会内外での闘いに全力を尽くす。


以上