事務局長談話

 
2015年04月01日
生活困窮者自立支援法施行にあたっての談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1. 4月1日から、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し自立相談支援事業などの支援を行うことを目的とする、生活困窮者自立支援法が施行された。生活困窮者に対して支援を早期に行うことで生活困窮状態から脱却することや、貧困の連鎖を断ち切るための新しい制度がスタートすることは評価できる。

  2. この法律は、民主党政権下の社会保障と税の一体改革において、「生活困窮者の自立に向けた生活自立支援サービスの体系化のため必要な法整備も含め検討する」、とされたことを受け、2012年4月から審議会で議論がスタートした。更に2013年4月から国会審議がされたのち、2013年12月に成立したものである。
    制度の内容は、自治体の必須事業として自立相談支援事業や住居確保給付金の支給、任意事業として就労準備支援事業、一時生活支援事業、家計相談支援事業、学習支援事業、都道府県による就労訓練事業となっている。

  3. これまで連合は、生活困窮者への総合的な支援体制の構築を求め、審議会・国会対応を進めてきた。その結果、就労を始めとして、居住・家計・健康面の相談支援、貧困家庭の子どもへの支援等を行う制度が構築されたことは大きな前進である。しかし、新制度の事業が必須と任意で区分され、国の補助金に差がつくことによって、自治体間の差が生じることは、課題として残されている。また、就労訓練事業については貧困ビジネスの温床にならないため、都道府県のチェック体制も重要である。

  4. 制度が施行されるにあたり、任意事業を実施する自治体は30%程度に止まっている。生活困窮者自立支援法の任意事業が必須事業とともに実施されるよう、地域ニーズに応じた支援を確実に行うことと同時に、国に対して任意事業の財源についても、民主党と連携して改善を求めていく必要がある(本日、民主党への要請を実施)。
    連合は、構成組織及び地方連合会とともに、新制度の実施状況の点検と検証を行い、すべての世代を支える「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて引き続き取り組んでいく。


以上