2015年03月02日
「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」の答申にあたっての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生
- 本日、労働政策審議会労働条件分科会(分科会長:岩村正彦東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、2月17日に諮問された「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」(以下、要綱)について答申を行った。2月13日の労働政策審議会建議の取りまとめ時と同様に、労働者側委員として強い反対意見を付記せざるを得ない内容のままで議論が終結されたことは、極めて遺憾である。
- 要綱の主な内容は、建議と同様に、いわゆるホワイトカラー・エグゼンプションである「高度プロフェッショナル制度」の創設や裁量労働制の対象業務の拡大といった、労働時間規制の大幅な緩和策が中心となっている。一方で、連合が強く主張してきたすべての労働者を対象とする「労働時間の量的上限規制」等の長時間労働抑止策の整備には踏み込んでいない。
- 過労死等防止対策推進法は、国権の最高機関であり唯一の立法機関である国会が満場一致のもと、政府に対して効果的な過労死防止対策の推進を責務として課した重い意味を持つ法律である。現在、過労死等の防止対策の推進のみならず、ワーク・ライフ・バランスの実現といった観点も含め、実効的な長時間労働抑止策の整備が急務とされている中、本要綱に示された内容ではそうした政府の責務に真摯に応えたものとは到底評価できない。また、労働者側委員の強い反対を押し切る形で答申が行われたことは、三者構成審議会の運営のあり方に照らして、極めて問題が大きいと言わざるを得ない。
- 連合は、今後の国会審議の場において、実効ある長時間労働抑止策の導入を求めるとともに「高度プロフェッショナル制度」の創設と裁量労働制の対象業務拡大を阻止すべく、構成組織・地方連合会と一体となって院内外の取り組みを強力に展開していく。