事務局長談話

 
2014年12月28日
「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」の閣議決定に対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  12月27日、政府は、総額3.5兆円規模の「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」を閣議決定した。景気回復を実感できていない低所得者層や子育て世代、地方の中小企業等への対策が最も求められるなかで、本対策の中身は総花的でメリハリがなく、その目的である個人消費のてこ入れや地方経済の底上げへの効果は不透明である。対策の裏付けとなる2014年度補正予算案とあわせ、国会における与野党の真摯な議論を通じて対策の内容・規模が十分に精査されることを求める。

  2.  本対策には、「現下の経済情勢等を踏まえた生活者・事業者への支援」、「地方が直面する構造的課題等への実効ある取組を通じた地方の活性化」、「災害復旧・復興加速化など災害・危機等への対応」の3つの柱が掲げられている。地域消費喚起・生活支援や地方創生のための交付金の創設については、単なるバラマキに終わらないよう、個々の事業の効果等について厳格に検証する必要がある。また、子育て支援が盛り込まれたが、子ども・子育て支援新制度との整合性をはかる必要があるとともに、消費税率の引上げ先送りにより財源確保が不透明になっている社会保障制度について給付の削減があってはならない。

  3.  財政規律の観点では、2015年度の国・地方の基礎的財政収支赤字について、対GDP比半減目標を着実に達成するよう最大限努力するとしているが、具体的な道筋は示されていない。限られた予算の中で経済の好循環を実現するには、2015年度予算において、国民生活の底上げ・底支え、格差是正、将来不安の解消、雇用の安定と質の向上など、生活者・働く者の目線に立った施策に重点を置き、国民の消費マインドを喚起させる必要がある。

  4.  連合は、くらしと雇用の安定・向上に真につながる政策の実行を求め、当面の経済運営、2015年度予算、2015年度税制改正等において、政府・政党への要請行動を展開するとともに、すべての働く者の底上げ・底支えと格差是正をはかる政策・制度要求の実現に向けて、全力で取り組んでいく。


以上