2014年12月16日
COP20/CMP10の「気候行動のためのリマ声明」に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生
- 2014年12月1日から14日まで、ペルー・リマにおいてCOP20(国連気候変動枠組条約第20回締約国会議)及びCMP10(京都議定書第10回締約国会議)が開催された。会議は、当初の予定期間を2日延長し、12月14日に「気候行動のためのリマ声明」が採択された。資金や事前評価に対し、先進国・新興国・途上国間の溝が深く、会議が難航するなかで、最終段階で合意に至ったことを連合は歓迎する。
- 前回2013年のCOP19においては、2020年からスタートする「全ての締約国が参加する公平で実効性のある新たな法的枠組み」のための各国の温室効果ガス削減目標案などを記載する「約束草案」を、2015年の早い時期までに提出することが決定されていた。今回のCOP20で合意に至った「気候行動のためのリマ声明」の主な内容は、[1]約束草案に最低限記載する内容の要件や手続きの決定と、[2]各国の約束草案をまとめた「統合報告書」を作成することである。ただし、各国が提出する約束草案の妥当性や公平性について、相互に事前評価する制度への参加義務化が合意に至らなかったことは大きな問題であり、「新たな枠組み」の実効性に影響を及ぼしかねない。
- 連合は、COP20の会場において、雇用における「公正な移行」の確保や、新たな枠組みの構築に日本政府が積極的な役割を果たすよう求めるとともに、国際労働組合総連合(ITUC)の一員として、「公正な移行」に関する記者会見にも登壇した。今回の「気候行動のためのリマ声明」には、「公正な移行」を文言として盛り込むことができなかったことは残念であるが、「新たな枠組み」の実現に向け若干ながら進展が得られたことは、前向きに受け止める。今後は、2015年のCOP21に向け、日本をはじめ各国政府は協調して、実効性のある温暖化対策の交渉を進めていくべきである。
- 次回2015年の締約国会議(COP21)は、フランス・パリで開催されるが、今後の各国の約束草案の策定・提出や内容の検証方法、先進国の資金拠出などを中心にさらに難しい国際交渉が続くことが予想される。連合は、引き続き政府に対し、日本国内の産業とそこに働く労働者への影響を最小限に抑えつつ、二国間クレジットの手法も含め温室効果ガスの削減を着実に実行し国際的な責務を果たすよう求めていく。同時に、組合員一人ひとりのライフスタイルの見直しを呼びかける「連合エコライフ21」の取り組みをはじめとした日常的な対策にも積極的に取り組んでいく。
以上