2014年12月10日
特定秘密保護法及び施行令・運用基準の施行に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生
- 政府は、2014年12月10日、特定秘密保護法とその施行令・運用基準を施行した。反対あるいは慎重審議を求める多くの国民の声を無視して衆議院、参議院ともに強行採決し、昨年12月5日に成立した同法が、根本的な修正もなく、本日施行されたことは極めて遺憾である。さらに、衆議院は解散中であり、国会に設置されるはずの機関が未設置のままに施行されることは、国会軽視であり、与党の横暴と言わざるを得ない。連合は断固、抗議する。
- 特定秘密の運用状況は、年1回開催される政府の情報保全諮問会議の意見を付して、国会にも報告される。さらに、衆参両院に設置され8名の議員で構成する情報監視審査会では、特定秘密の妥当性を審査し、政府に運用改善の勧告をすることができる。しかし、限られた議員のみで40万件とも言われる膨大な特定秘密の審査は困難である。なお、特定秘密は情報公開法の対象であるものの、国民の開示請求に対して政府が不開示とすることも想定される。
加えて、内閣府に、省庁の事務次官級でつくる保全監視委員会、審議官級による独立公文書管理監と20人規模の情報保全監察室が設置されるが、これらのチェック機関が、仮に特定秘密の是正を求めてもその強制力はない。また、それらの機関の人事は、特定秘密を指定する行政機関に委ねられており、独立しているとは言い難い。
- 連合は、2013年11月の中央執行委員会で「特定秘密保護法案に対する連合の考え方」を確認し、秘密の拡大解釈や意図的な情報秘匿などの懸念を完全に払拭するとともに、特定秘密に関係する企業とそこで働く労働者に及ぼす影響への対策などについて、民主党を通じて法案の修正を求めてきた。また、法案の成立後は、施行令案・運用基準案に対して、報道の自由、労働組合活動への影響、職場から出された懸念や憂慮される事案について意見を集約し、パブリックコメントに意見を付した。その結果、適性評価において労働組合活動を調査しないこと、運用基準を5年ごとに見直すことなど、4点の修正が行われたものの、多くの問題点は修正されないまま閣議決定された。
- 連合は今後、特定秘密保護法に内包される「知る権利・報道の自由」「国会のチェック機能のあり方」「最終的な情報公開の仕組み」など法律の問題点、特定秘密の指定のあり方、適性評価とプライバシー保護などの運用上の問題について、職場での混乱や労働者に問題が生じないよう、必要な見直しを政府に強く求めていく。
以 上